コラム「南風」 メタボ対策を見直しましょう


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 沖縄県でメタボや肥満が増えている原因は、炭水化物(糖質)の食べすぎです。糖質は穀物、果物、野菜などの植物性食品に多く含まれます。摂取すると腸でブドウ糖に変化して体内で利用されますが、余った分はすべて脂肪に変わります。これが肥満をつくるメカニズムで、砂糖も同じ経緯をたどります。

 牛や豚に脂肪をつけ、太らせる餌は穀物と草。肉や脂肪ではないのです。
 健診で指摘される中性脂肪。数値が上がる原因は糖質とアルコールで、脂肪ではありません。食べすぎた糖質が処理できずに中性脂肪になったのです。LDLコレステロールも増加し、動脈硬化が進行して高血圧や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まります。
 中性脂肪値の高い人は、夕食だけでも肉や卵中心のおかずをたっぷり食べてください。糖質の多い主食(米、パン、ソバ)を抜くだけですぐに改善します。
 2004年、米国糖尿病学会は「糖質だけが血糖値を上昇させ、タンパク質と脂質では上昇しない」と発表しました。血糖値が高い人は動物性の肉、卵、チーズ、魚介類(血糖値の上昇はわずか)の摂取を増やして、糖質を減らす食事を心がけましょう。ただし、すぐに効果が出るため糖尿病薬を使用中の人は低血糖に注意してください。
 動物性タンパク質の不足は、高血圧の原因でもあります。減塩指導では、食塩感受性高血圧症の人を除いて内服薬が減らないのが現状です。肉をたくさん食べて血管の柔軟性を保てば、動脈硬化も予防できます。こういう食事で、降圧剤を中止できた人もいます。
 沖縄県は、平成22年度年齢調整死因別死亡率で脳梗塞が男女とも47位と全国最少です。(同じく長寿の長野県は男性13位・女性2位)。沖縄では(現在の高齢者も)、昔から豚肉をたっぷり食べてきたからです。
(渡辺信幸(わたなべのぶゆき)、こくらクリニック院長)