「つぶれると分かっていてただ働きさせたのか…」 大学生らアルバイトへの給与未払い 破産準備のクライマックスコーヒー


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 破産の準備に入ったことが7日分かった飲食業のクライマックスコーヒー(沖縄市)が、8月で閉店した那覇OPA内の3店舗でアルバイトをしていた大学生らに対し、8月分給与を「原資がないので満額は支払えない」と告げていたことが8日までに分かった。7万5600円が未払いの学生(20)=2年=は「生活費や新学期の教科書代が足りない。働いた分は払ってほしい」と訴えている。

クライマックス経営店舗のアルバイト代支払いを求める学生と店舗側のやりとり(提供、一部画像処理)

 支払いを求めているのは少なくとも沖縄キリスト教学院大、沖縄国際大、沖縄大、専門学校の学生5人と社会人1人で未払い額は合計約45万円。今後、ブラックバイトユニオンに加入し対応を検討する。同社の代理人を務める県外の弁護士事務所は本紙の取材に「11月中にも破産を申し立てる。原資がないので給与は未払い賃金立て替え制度で最大8割が支払われる」と説明するにとどめた。

 同社は2018年10月、那覇OPAに飲み物、海鮮丼、パンを販売する3店舗を開いた。立地の良さ、900円の時給に加えて学生に知名度が高いクライマックスコーヒーの看板も「安心材料になった」と学生。

 ただ、働き始めると交通費は支給されず、シフトは勤務の数日前にしか発表されない上、急な変更もあった。断ると「代わりの人を見つけて」と求められ、仕方なく授業を休んで出勤することもあったという。

 今年5~7月には退職者が相次ぎ、2店舗を実質5人のバイト学生らが運営。交代で勤務するため注文、生鮮食品を扱う調理、レジ、片付けなどすべてを1人で担うワンオペ状態が続き「接客・販売のつもりで入った。そこまでやると思わなかった」と別の学生(22)=4年=は語る。仕事内容を記した雇用契約書や就業規則も渡されていなかった。

 売れ行きは伸びず、8月に入って閉店のうわさが流れたため学生が問い合わせると19日に「閉店する。決まり次第連絡する」とだけ知らされ、詳しい説明もないまま30日に閉店した。8月分給与は9月25日の支払日に支払われず、催促すると「遅れる」「後日」など返信があるだけだった。

 不誠実な対応に学生らは「つぶれると分かっていてただ働きさせたのか」「学生だと思ってばかにしている」と憤り「泣き寝入りはしない」と断言した。

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