秋田では計画見直すのに沖縄では… 日本政府、「地元理解」に異なる対応 イージス配備と辺野古移設 沖縄への二重基準鮮明に


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 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」について、政府内で秋田市の陸上自衛隊新屋演習場への配備計画を見直す案が浮上している。住宅地に隣接していることや、防衛省の調査ミスへの反発を受け、計画変更の検討を迫られた格好だ。沖縄で地元の根強い反発があっても米軍基地建設を押し通す姿勢とは対照的で、二重基準ともいえる対応の落差が際立つ。

 政府は防衛政策を進める上で「地元の理解や協力を得ることが前提」だと強調している。地上イージスや名護市辺野古の新基地建設についても国会答弁などで繰り返し用いられてきたフレーズだ。

 ただ、沖縄では米軍普天間飛行場へのMV22オスプレイ配備計画の撤回を求めて、10万人規模の県民大会や県内41市町村の首長や議長による政府要請などがあったが、政府は配備を強行した。名護市辺野古の新基地建設を巡っては、県知事選や国政選挙、県民投票などで幾度となく圧倒的な反対の民意が示されても計画は押し通されている。

 「地元の理解」に関する本土と沖縄での対応の違いが鮮明となる場面はこれまでもあった。2015年、沖縄の基地負担軽減策の一環として米軍オスプレイの佐賀県への訓練移転が浮上した際、地元では反発が起こり、当時の中谷元防衛相が計画を「取り下げる」と表明した。

 地上イージスの配備計画では、「新屋ありき」に対する反発が地元に根強い。今年7月の参院選では、秋田選挙区で新屋配備に反対する野党統一候補が自民党現職を破った。辺野古新基地建設が争点となった沖縄選挙区でも反対を掲げる候補が当選したが、ここに来て地元の反発に対する政府対応に違いが見え始めた。

 秋田県の佐竹敬久知事は今月2日、新屋配備について「非常に無理がある」と強調。河野太郎防衛相は翌3日の会見で、国の専権事項である安全保障政策に、地元知事の発言がどれほどの重みを持つかを問われ「地元のご理解を得ることは大切だ。しっかり再調査し、ゼロ・ベースで検討していきたい」と述べた。今後、早ければ来年3月ごろにまとまる再調査結果の行方が焦点となる。
 (當山幸都)