平和の礎「6・23」前に不戦誓う 慰霊の家族ら混雑避け


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 23日の「慰霊の日」を前にした20日、糸満市摩文仁の県平和祈念公園には、混雑を避け、週末を利用して慰霊に訪れた家族連れなどの姿が見られた。強い日差しの下、日傘や帽子にマスク姿で、親族の名前が刻まれた平和の礎に静かに手を合わせていた。新型コロナ感染防止のため、学校での平和学習が縮小され、個人で県平和祈念資料館を訪れる親子もいた。

「慰霊の日」を前に「平和の礎」を訪れ、祈りをささげる子どもたち=20日午前11時42分、糸満市摩文仁の平和祈念公園(ジャン松元撮影)

 平和の礎が完成した1995年以来、25年ぶりに訪れた宜野湾市の安田玄仁さん(81)。伯父の名前を探し当てると、ほっとした表情で指でなぞった。24万人余の名前が刻まれた礎を見て「これだけ多くの犠牲者が出たと思うと、胸が締め付けられる」と語り「新型コロナで来場者が減るのは残念だ。若い人たちも実際に礎を見て、戦争の犠牲を肝に銘じてほしい」と願った。

 宜野湾市から毎年訪れる女性は、親族の名前が刻まれた礎に花を供え、手を合わせた。「何年たっても悲しい気持ちは変わらないね」と言葉を詰まらせた。

 糸満市立兼城小学校6年の女子児童(11)は、学校で配られたワークシートを持参し、平和祈念資料館の展示をたどりながら沖縄戦を学んだ。母親(40)は「礎に来るのは初めてで、親族の名前も見つけた。娘にも過去の戦争を知って、同じ過ちを繰り返さないよう心に刻んでほしい」と語った。