沖縄の感染拡大はGoToが一因か 県が「移入例」発端と分析


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 政府の観光支援事業「GoToトラベル」が開始されて22日で1カ月がたった。県内では開始直後から新型コロナウイルスの感染者が急増し、県は1日、独自の緊急事態宣言を発出した。那覇空港利用者の位置情報分析では、事業開始直後の4連休(7月23~26日)で県外客の来県が一時増加したことが判明した。県は8月に入っての感染拡大は県民間の飲食や会合が要因とみているが、発端は7月の県外からの「移入例」だったと分析している。同事業を契機に人の往来が激しくなり、県内での感染を広げた可能性がある。

 県の糸数公保健衛生統括監はGoTo事業の影響について「事業期間に県外客からの接触もあったが、県民同士の会食もあったかと思うので、全てが事業のせいとは言えない。複合的な要因で感染を広げた可能性がある」と述べた。

 GoTo事業が前倒しで始まる前の7月21日時点の県内感染者数は累計154人にとどまっていた。

 これ以降は急増し、8月21日までに1834人に上る。人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数は8月に入って連日、全国最多を記録している。これまで県内で確認された県外居住の感染者は計27人にとどまるが、無症状の観光客が県内を訪れている可能性もある。

 空港利用者の情報は感染症対策で厚生労働省にビッグデータを提供する「Agoop(アグープ)」(東京)から琉球新報が詳細データの提供を受け、分析した。

 7月22日から8月20日までの間、那覇空港を利用した県外客は1日平均2031人、総数は8万4877人だった。居住地別の内訳はGoTo業から全国で唯一除外された東京都が1万9002人で最も多かった。次いで神奈川県が1万151人、大阪府が6349人、埼玉県が5911人、その他の42道府県が4万3474人だった。

 県は観光業界からの強い意向を受け、緊急事態宣言中も県外からの渡航自粛を求めなかった。最長で来年3月まで実施されるGoTo事業も容認している。

 7月からの感染拡大は県外からの移入例が発端とみる県にとって、観光と感染防止の両立を図る以上、実効性のある水際対策が大きな課題となっている。
 (梅田正覚)