沖縄理解深める契機に 島田叡氏顕彰碑 関係者喜びと期待


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
顕彰碑の完成を祝うため県内外から集った出席者=26日、那覇市の奥武山公園(諸見里真利撮影)

 戦後70年の節目に島田叡(あきら)氏の顕彰碑が完成し、県内関係者は喜びや期待などそれぞれの思いを胸に式典へ臨んだ。

 顕彰碑の建立に取り組んだ「島田叡氏事跡顕彰期成会」会長で元副知事の嘉数昇明さん(73)は「力を合わせてやってきたことが実を結んで良かった」と感慨深げだ。県内外の報道陣に囲まれ「沖縄と兵庫だけでなく広く島田知事の足跡が知られてほしい。同時に(顕彰碑が)沖縄に対する理解を深めるきっかけになることを望んでいる」と語った。
 県病院に勤務していた父が軍医として戦場に動員された元副知事の新垣雄久さん(85)=現県平和祈念財団会長=は「戦後70年がたち記憶が風化されていく。(島田氏顕彰を)一つの流れとして、終戦や復帰など歴史を知る機会になればいい」と話し、あいさつに静かに耳を傾けていた。

 島田叡 兵庫県出身。米軍が沖縄本島に上陸する約2カ月前の1945年1月31日、沖縄県知事として着任した。戦時行政への機構改革に取り組み、食糧確保や軍の南部撤退に反対するなど住民の保護に尽力した。一方で、軍と協調した戦意高揚など軍官民一体化の推進も担った。同年6月26日、軍医部壕を出たのを最後に消息を絶った。