「日米、県民の意思否定」 NYタイムズ、社説で主張


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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米有力紙ニューヨーク・タイムズは5日付で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、日本政府が埋め立ての本体工事に入ったことに対し「沖縄県民の意思を否定している」と題した社説を掲載した。「日本と米国は自身を平和、人権、民主主義を約束する国家とみなしている。それらの主張が試されている」と指摘した。

 社説の冒頭で「対暴徒用装備に身を包んだ日本警察官らが祖父母らを引きずっている。抗議者たちはお互いの腕をつなぎ、米軍車両の前に横たわっている」と緊迫する移設現場の様子を伝えた。名護市長や県知事が日本政府による無法状態や東京からの残酷かつ冷酷な統治を非難しているとした。
 県民が辺野古移設に反対する理由を「多くの県民は辺野古移設計画は負担が永続すると主張する。軍事化における危険や騒音そして環境劣化が島の他の所に移るだけと言う」と説明した。
 翁長雄志知事が先月、埋め立て承認を取り消したが、日本政府は知事を無視し、10月29日に埋め立て工事を始めたと経緯を説明した。その上で「翁長氏は東京への抵抗を続けると誓い、抗議者らは警察官と衝突した」とし、反対闘争が激しくなっていると指摘した。
 また日米両政府が沖縄県民の権利を侵害していると主張し「日本政府は米軍のプレゼンス(存在)による安全保障を望むが、沖縄がその負担を払うことを望んでいる」と指摘した。