<未来拓くうるまの宝>上 農水産物活用 商品開発進め販路開拓


この記事を書いた人 外間 聡子
うるま市のビーグを使った麺を作る職員。「ガーデンクレス」での商品製造は障がい者の就労にもつながっている=10月21日、うるま市上江洲

 合併10周年。海あり、山ありの広大な土地の恵みをどう生かすか。農水産物が豊かなうるま市の挑戦が続いている。

 市は現在、市前原に「農水産業振興戦略拠点施設」を整備中だ。島袋俊夫市長は「うるま市にはさまざまな農水産物があるにもかかわらず、自ら販売する場がない」と話し、施設整備を「地域活性化の拠点づくり」と位置付ける。施設は2017年度の開設を目指し、16年度に着工、15年12月に運営者を決める予定だ。敷地面積は1万3206平方メートル。直売所、産直レストラン、加工品販売ブースなど8機能を有する。

 一方、農水産物を生かした地域づくりは、ソフト面でも進む。4日、市内で行われた特産品の商談会では市内の素材を使った商品を開発・販売する12社が出展し、50品以上が並んだ。商談会は市が一括交付金で行う事業の一環。市から事業を受託したノイズ・バリュー社とNico Okinawaが、商品開発や顧客のターゲット層を定めた商品の見せ方、販路開拓を市内の事業者に伝授してきた。

 取り組みの目的は「事業者の底上げ」とノイズ・バリュー社の青木元さん。同社によると、実績も上がっており、島トウガラシの辛みスパイス「島ネロ」を製造する島ネロ研究所は販路開拓の手法を学び、販売数を13年度の559本から次年度は2430本と4・3倍に上げた。黄金芋を使って「みのむし揚げ」を開発したえがおファームが利用した黄金芋は、13年度の106キロから1年で3227キロに増え、30倍になった。

 喫茶店を営むガーデンクレスは、市内で栽培される畳の素材「ビーグ(イグサ)」を練り込んだ麺やお菓子を開発した。上江洲多恵子代表は「使い方が分からなければ100年先、うるまの素材を失ってしまう」と商品企画の使命を語る。足元にある素材の見直しが始まっている。

 商品開発などの事業は今後も続ける予定で、市商工観光課は「最終的には直売所につなげたい」(宮城紀章商工係長)と先を見据える。豊かな農水産物を、高付加価値を付けてPRできるか。近い将来、市一体となった取り組みの成果が見えてくる。
(東江亜季子)

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 うるま市の物産展が13日から15日まで、イオン南風原ショッピングセンターで開かれる。問い合わせは市観光物産協会(電話)098(978)0077。