シークヮーサー天ぷら “冗談から誕生”メニュー化へ


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メニュー化が予定されている「シークヮーサー天ぷら」

 【名護】冗談が生んだ新感覚メニュー―。名護市の金城修さん(51)と良江さん(51)夫妻のふとした会話から生まれた「シークヮーサー天ぷら」。予想以上のおいしさに感服した名護市の「かっぽう山吹」が、12月から来年1月までに店でメニュー化する。10月29日、同店で試食会が開かれ、参加者は「甘くておいしい」と驚きの表情を見せた。山吹の新里清光代表(59)は「豊作で余った果実の有効利用につながる」と期待を膨らませる。

シークヮーサー天ぷらを生んだ金城修さん(前列中央)と妻の良江さん(後列左)。前列右は「かっぽう山吹」の新里清光代表=10月29日、名護市の「かっぽう山吹」

 ある日、修さんは友人と自宅で酒を飲んでいた。テーブルにあったシークヮーサーと、良江さんがつまみに出した天ぷらを目にして、修さんが冗談で「シークヮーサーも揚げたらいいさ」と言ったのが全ての始まりだ。
 真に受けた良江さんが本当にシークヮーサーを天ぷらにした。「本当に出してきよった」(修さん)、「『トマトの天ぷら』もあるって聞いたことあったから」(良江さん)。
 修さんも友人も、最初は食べるのをためらった。が、意を決した2人は「せーの」で同時に食べようと約束。いざ食べてみた。「あい…」。2人は目を合わせた。おいしかった。実においしかった。種もそのまま食べられた。
 修さんは旧知の新里代表に電話した。「まずシークヮーサー揚げてごらん」。新里代表も最初は相手にしていなかった。でも、まず揚げてみた。最初の電話から20分後に折り返した。「いける」
 冷凍された果実でも作れるため、豊作で余っても活用できる。農家にとっては時価が安定し、店にとっては話題のメニューだ。
 試食した前原美香さん(34)は「甘みが増していて、子どもでも食べられる」と太鼓判を押す。
 “開発主”の良江さんは「一般の家庭でも作ってほしい」、提供する新里代表は「どんどん他店にも普及してほしい」とやんばる産シークヮーサーのさらなる活躍を願っている。(長浜良起)