【キラリ大地で】アメリカ アル・ムラツチ氏 那覇生まれ「心の古里」


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 「うーん実にうまい」と思わずうなった。食べ物の話ではない。ロサンゼルス近郊で毎月発行されている日本語雑誌「ブリッジ USA」で2014年5月から毎月掲載されているコラム「議員妻ムラツチ博子の毎日がスペシャル」。読者に伝える力があり、簡単明瞭で興味深いと好評だ。筆者の樋口博子さんは兵庫県芦屋市出身で前カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ(サウスベイ地区選出)さんの妻だ。

 「禅の心」と題してカリフォルニア州のブラウン知事が鎌倉で禅の修業をし「無私無欲の世界」の悟りに至った話。アメリカの多様性の素晴らしさを通して「日本女性の地位の低さ」を痛感したことやアジア系女性議員の躍進も話題に。「進化する政治家の妻の役割」と題してミシェル・オバマ米大統領夫人や安倍昭恵首相夫人のこと、ノーマン・ミネタ元運輸長官との出会いなども紹介している。
 夫のアル・ムラツチさんは岐阜県系2世の父と栃木県系1世の母との間に那覇市で生まれた。クバサキ高校、カリフォルニア大バークレー校を卒業、同大ロサンゼルス校の法律学部で学ぶ。2012年にカリフォルニア州下院議員(民主党)に当選、14年再選を狙ったが、共和党推薦の候補者に0・6ポイントの僅差で破れた。相手候補からのネガティブキャンペーンの苦い経験を覆すためにも16年の選挙に再び立候補する。現職はカリフォルニア州検察官。
 「沖縄は心の古里」と、沖縄で生まれ育ったムラツチ氏はテレビインタビューに答えていた。「外交に携わることができたら沖縄のために働きたい。顔はヤマトゥンチュだが、心はウチナーンチュだ」と沖縄への思いを語った。(当銘貞夫通信員)