自転車観光 普及広がる 路地散策、宿泊プランも


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ポタリングサービスで那覇の街をサイクリングで回る参加者ら=14日午前、那覇市若狭の若狭バース

 自転車観光の普及に向けた動きが県内で活発化している。自転車専門店を経営する沖縄輪業(那覇市、藤村隆雄社長)は12月から、那覇市内をガイド付きで巡るポタリング(自転車散策)サービスを開始。

路地裏にある文化財などを紹介するなど、レンタカーやバスとは異なる視点で街を眺める魅力を発信し、新たな需要を掘り起こす。メルキュールホテル沖縄那覇(猿丸新二総支配人)も11月から、部屋に自転車を持ち込めるサイクリスト(自転車愛好家)向け宿泊プランの提供を始めた。
 ポタリングサービスのルートは壺屋・三重城コース、新都心コース、首里城などを巡る初心者向けコースの3種類で、所用時間は3~5時間。価格は税別4千円から。
 14日には約3時間の壺屋・三重城コースに6人が参加した。ガイドは沖縄輪業のスタッフで那覇市出身の森豊さんが務め、壺屋うふシーサーや東(あがり)ヌカー、奥武山公園などを回った。参加者からは「新垣家住宅、きれいになったな」「でかいクルーズが停泊しているよ」「初めてうみそらトンネルを下から見た」など、走りながらさまざまな感想が聞かれた。
 参加した糸満市の金城一也さん(37)は「一人で走っても素通りしてしまいそうな所ばかりだった。限られた時間で観光する人に向いているし、県民も十分楽しめるコースだ」と満足げに語った。
 沖縄輪業は現在、香港や台湾などから約20人の団体客のガイドを月に2回ほど実施している。森さんは「欧米やアジアでは観光サイクリングが盛んだが、国内はまだ根付いていない。ツアーでガイドも育て、観光客を案内できる事業者を増やしたい」と展望した。
 メルキュールのサイクリスト向け宿泊プランは、1日11部屋限定。客室に自転車を置く専用スタンドを設置するほか、ロビーでは工具などのメンテナンス用品も貸し出す。沖縄輪業を含め県内外5社の協力を得て、自転車の輸送費割引や貸し出しサービスもある。
 担当者は「温暖な気候の沖縄はサイクリングに適した地域であり、サイクリストも増える傾向にある。県外からの需要に応えたい」と力を込めた。(長嶺真輝)