8月24日のオープンを控える米国系会員制スーパー「コストコ沖縄南城倉庫店」(南城市)には連日、入会を希望する県民の姿がある。会員数は非公表だが、受け付けが始まった6月10日から1週間で約5千人が登録した。「沖縄になかったタイプのお店だ。選択肢が増える」。会員にになるため行列に並んだ那覇市の女性(42)は期待を膨らませた。沖縄初上陸の“黒船”への関心は高い。
日々の暮らしを支えるスーパーの競争が激しさを増している。コストコに先立ち、今年3月には神奈川県を拠点とする食品スーパーのロピアが県内1号店を那覇市に構えた。県内で「フレッシュプラザユニオン」を展開する野嵩商会がフランチャイズ契約を結び運営を担う。ロピアは県内で今後も店舗網の拡大を見据える。
ロピア、コストコ共に大容量の商品を低価格で販売する高いコストパフォーマンスが特徴だ。コストコは「トレジャーハンティング(宝探し)」、ロピアは「食のテーマパーク」をコンセプトに、買い物体験を楽しませる独自の売り場づくりに強みがある。相次ぐ新規参入で、沖縄の小売業界の勢力図や商流はどう変わるのか。
新型コロナウイルス禍を経て沖縄経済は観光需要が回復し、物価上昇の影響を受ける個人消費も堅調さを見せる。県内小売り大手の幹部はコストコやロピアの進出について「沖縄の市場がまだ成長可能性を秘めることの裏返しだ。いかに独自性と差別化を打ち出すかという鉄則は変わらない」と語る。
(當山幸都)