社会

養母の味「伝えたい」 琉球料理研究家の山本さん、米で講習会

「琉球料理を後世に残したい」と話す山本彩香さん=豊見城市

 琉球料理研究家の山本彩香さん(81)=豊見城市=が11日に渡米し、米カリフォルニア州南部のロサンゼルスで料理講習会を開く。養母だった崎間カマトさん(享年97)直伝の琉球料理を「世界のウチナーンチュにも伝えたい」と話す。同州北部サクラメントに眠る実母フェルトしま子さん(享年100)の墓参りも現地県人会の計らいで初めて実現することになった。山本さんは2人の母への思いを胸に「沖縄の伝統料理を後世に伝えることで最後の親孝行をしたい」と目を潤ませた。

 山本さんは1935年東京生まれ。2歳のときに実母の姉、崎間さんの養女に迎えられ、那覇の花街、辻で料理人をしていた養母から琉球料理を習った。
 山本さんは那覇市で幼少期を過ごし、沖縄戦で戦火が迫ると今帰仁村の山中に養母と避難した。料理が得意だった養母は、かばんにニンニクと塩、イモくず、黒糖を入れて持ち歩き、山中で毎朝、水にイモくずと黒糖を溶かして山本さんに与えた。昼は空襲がやむ時間帯を見計らい、少量の肉を地元の人から買って山菜を入れた汁をごちそうしてくれた。「料理が得意だった母ちゃんのおかげで、戦時中も戦後もひもじい思いをしたことはなかった」と振り返る。
 50歳で那覇市久米に「琉球料理乃山本彩香」を開店。歌舞伎俳優の故坂東三津五郎さんや演出家の宮本亜門さんら著名人も通う人気店だった。2012年に閉店したが、81歳の今も友人らに豆腐ようやラフティー、豚肉を黒ごまで包んだ「ミヌダル」などを振る舞う。今回の講習会では現地で調達できる食材で養母直伝のフーイリチャーの作り方を伝える予定だ。
 県人会関係者との講習会の調整の際、サクラメントに米国人男性と再婚した実母の墓があることを話すと、飛行機で1時間半かかる墓参りを手配してくれた。「亡くなる2カ月前に見舞ったのが最後だった。私も高齢なので墓参りができるとは思っていなかった」
 11年には国際交流基金の日本文化紹介派遣事業の一環でパリ、ミュンヘンなどで琉球料理講習会を開いた。山本さんは「琉球料理の伝承は沖縄の尊厳やアイデンティティーを守ることにつながると思う」と話している。(松堂秀樹)



琉球新報