球陽高生が「世界一大きな授業」 途上国の現場学ぶ


社会
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世界の子どもたちが教育を受けるための方法について話し合う球陽高校の生徒たち=21日、糸満青少年の家

 球陽高校(沖縄市)の1年生約280人は21日、糸満市の県立糸満青少年の家で、世界の教育の現状を世界中で同じ時期に学ぶ「世界一大きな授業2016」に取り組んだ。生徒たちはワークショップ形式で、教育を受けることができない世界の子どもたちの現状を学び、子どもたちが学校に通えるようにするため「軍事費よりも世界の子どもたちの支援にお金を使ってほしい」「こういう授業を日本中の子どもたちが受けられる仕組みが必要」などの提言をまとめた。

 「世界一大きな授業」は2003年にスタート。世界100カ国以上で、16日から5月31日までの同じ時期に開催されている。主催する教育協力NGOネットワーク(JNNE)によると、国内では15年には7万人以上が参加、今年は4月26日現在で460校3万9511人が参加している。参加団体の提言は教育政策に反映するよう政府に届けている。
 授業は7人一組でグループとなり、我如古香奈子教諭が進行を務めた。世界で約5800万人、12人に1人が小学校に通っていないことや、読み書きができない大人が約7億8千万人、6人に1人いること、世界中の子どもたちが高校まで通うためには先進国の4兆円の支援が必要なことなどを、クイズを通し学んだ。
 ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんの活動の様子を映像で見た後、自分たちの気持ちや世界中の子どもたちが学校に通えるためにできることを議論。生徒たちは「先進国は途上国をもっと支援すべきだ」「教育の大切さをもっと調べたい」などと活発な意見を交わし、日本政府への提言をまとめた。
 授業を受けた大城夏樹さん(15)は「海外青年協力隊に興味があるが、そういう国々に行って現状を自分の目で見て、自分ができることをやっていきたい」と話した。
 父親がパキスタン人という内田アダム葵生さん(15)は「マララさんのように小さなことからでも世界を変える原動力になる。いとこや親戚が苦しい中で生活しているのではと考えると、自分にできることで社会を変えられたらと思う」と話した。
 我如古教諭は「この授業をきっかけに社会は変えられるという強い意志を持ち、いい社会に向けた行動に移せるきっかけになってほしい」と話し、多くの学校で取り組みが広がることを期待した。