知事「国は真摯に協議を」 係争委決定 県から「不服」提訴はせず


この記事を書いた人 志良堂 仁
国地方係争委員会の決定に「国は実質的な協議をしてほしい」と話す翁長雄志知事=18日午後、県庁

 名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国係争処理委員会が17日、国が県に対して出した是正指示の適否を判断せず、双方に問題の協議を求める決定をした件で、翁長雄志知事は18日午後、県庁で記者会見した。翁長知事は委員会の決定を「県として重く受け止める」と述べた上で、国に対して「委員会の判断を尊重し、県と問題解決に向けた実質的な協議をしてほしい」と求めた。政府は県側が係争委の決定に「不服」として取り消し訴訟を提起し、再び法廷闘争に入ることへの期待を示唆していたが、翁長知事は協議を優先する意向を示した。

 翁長知事は国との協議の結果、折り合わない場合は提訴するかとの問いには「協議する気持ちを持っているのは、折り合わないことを想定していない」と述べた。
 辺野古代執行訴訟で国と県が和解した際の双方の確認事項(和解条項)によると、係争委が是正指示を違法、または適法と判断した場合、県と国はその決定に不服があれば高等裁判所で争う手続きを定めていた。県は18日、係争委の決定に「不服はない」と表明し、県側から提訴する可能性は極めて低くなった。
 一方、双方に協議を求めた係争委の決定は、国が県に出した是正指示が違法だったと判断したわけでもないため、是正指示の効力も残っている。そのため国は県が係争委による結果通知から30日以内に是正指示に従って承認取り消しを撤回しない場合、県を相手取り違法確認訴訟を起こす可能性が残っている。【琉球新報電子版】