第一航空、操縦士が半減 安全疑問訴え6人退社


この記事を書いた人 志良堂 仁

 粟国空港で昨年8月、プロペラ機DHC6が着陸時に滑走路を外れてフェンスに衝突、11人が負傷した事故で、運航する第一航空(大阪)沖縄事業所の操縦士6人が会社の安全体制に疑問を訴えて退社したことが12日、分かった。事故当時にいた13人のほぼ半数が辞め、運休中の那覇―粟国便の再開や、遅れている石垣―多良間便などの就航に影響しそうだ。

 同社関係者によると、事故後、社内でDHC6の飛行訓練計画が浮上。しかし、DHC6が滑走路を外れる事故を海外で複数回起こしていたことが社内調査で判明し、操縦士の一部が「原因究明まで飛ばすべきでない」などと反対した。

 会社はそのうち4人に異動を命じ、全員が2月に退社。別の2人も3月に辞め、今月末にも1人退社する。退職した1人は取材に「異動は反発する人を排除する報復人事だ」と主張。別の操縦士は「安全より運航再開を優先する姿勢が明らか」と述べた。訓練計画は国の許可を得ておらず、訓練は実施されなかった。

 同社の木田準一取締役は「事故で減収となり、余剰人員に異動を命じた。安全を軽視したのではない」と説明している。