米ホノルル議会、辺野古反対 上程せず 対日関係悪化懸念か


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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米ハワイ州のホノルル市議会は25日までに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に反対する決議案の取り下げを決めた。同市議会のマーティン議長が22日、決議案を提案したハワイ沖縄連合会のエドワード・クバ元会長らに書簡を送付し、本会議で審議しないことを通達した。書簡で審議をしない理由について「米軍と沖縄に関する論議に対する法的立場を有していない」「決議の意思を達成するための代わりの方法がある」などの理由を挙げた。

 ホノルル市議会が決議案を取り下げた背景には、移設問題について「連邦政府が決める」とし、州政府は関与できないとするデービッド・イゲ州知事の考えが影響しているほか、州経済が日本人観光客に依存するため日本政府との関係悪化への懸念があるとみられる。

 決議案は米政府と米国防総省に対して、在沖米軍の過重なプレゼンス(存在)について再考するよう要請するとともに、新基地建設計画を断念し、代替案を立案するよう求めていた。

 新基地建設問題では、米カリフォルニア州バークレー市議会が昨年9月に県民と連帯する決議を可決し、同10月からクバ氏ら県系人を中心に160人で構成する「沖縄の民主主義のためのハワイ会」のメンバーがホノルル市議会に新基地計画を断念する決議案可決を呼び掛けてきた。

 マーティン議長とフクナガ市議が決議案の共同提案者として、決議案の文言調整を行った後に本会議で審議するとしていたが、文言調整が難航した。さらに普天間移設問題は日米間の「微妙」な問題であることから、一部の市議から提案自体厳しいとの見方も出ていた。「ハワイ会」は10月のウチナーンチュ大会までに決議案を可決するよう市議会議長らに求めていた。

 クバ氏は「決議案可決に向け11カ月間にわたり取り組んできたが、今回、実現できなくて残念だ。ベストは尽くしてきた。今後も沖縄を支援していきたい」と述べた。