【島人の目】同性婚「なは宣言」に拍手


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 いとこの結婚式に参列した生徒が、その報告とともに写真を見せてくれた。総勢70人の身内、親戚、友人らに祝福され満面の笑みの主人公らは女性2人。その同性愛結婚式がノースカロライナ州の小さな町の祖父母の家で行われたのには驚いた。その州は同性愛婚を昨年合法としたが、いまだ南北戦争のころの南軍の旗を掲げることを主張する人たちが多い地であり、その地域の住民のほとんどが敬虔(けいけん)なキリスト教徒でまた人種差別も根強く残る保守的な所だ。

 「家族は、同性愛婚に反対しなかったのか」と聞いたところ「全く問題なかった」との返事。「祖父母たちはどのようにして同性愛を理解したか」との質問に「いとこは、同性愛であることを少女のころからカミングアウト(公表)していたから」との返答。お互いに時間をかけて話し合ってきた結果理解し合えたとのこと。

 アメリカ連邦最高裁判所は昨年同性愛婚を認める判断を示し、全米で合法化され、50州中37州が同性愛結婚を許している。同性愛者への偏見も徐々に緩和されて性的マイノリティーにとって生きやすい社会になっていくだろうと感じた。

 だが、日本はいまだカミングアウトが難しく、カミングアウトしたもののアウティングされて自殺に追いやられた悲しい事件があり、性的マイノリティー後進国だと言われているが、そんな時ネットである記事が目にとまった。

 那覇市が同性愛カップルを公的に認める登録証明書を交付し、すでに9組が登録済みという。性の多様性を尊重し自分らしく生きられるように啓蒙(けいもう)活動を推進する「なは宣言」に拍手。「那覇市、やるじゃない!」の一言である。
(鈴木多美子、米バージニア通信員)