「国民全体で議論を」 九州7知事、在沖米軍基地で認識


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 地方政治へのマニフェスト普及を目指す市民団体「ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州」(福岡市、神吉信之代表)が沖縄を除く九州7県の知事に「沖縄の米軍基地に関するアンケート」を実施し、4日までに全知事から回答を得た。沖縄の基地問題について「国民全体の課題として議論するべきだ」(長崎・中村法道知事)などの意見が複数出た。一方で「外交・防衛に関する問題は国の専管事項だ」と回答を避ける知事もおり、基地問題に対する温度差が見られた。

 神吉代表は、名護市の辺野古新基地建設を巡る不作為の違法確認訴訟に触れ「地方自治の観点から、各県の知事が判決をどう捉えているのか知りたいと思った。全国知事会で沖縄の負担軽減を議論する研究会も設置され、何を期待するのかも聞きたかった」と話した。

 設問は、自由記述を含め全6問。全国知事会の研究会に期待する役割について「基地負担について、基地のある県とない県との共通理解を深め、課題などの共有を期待する」(宮崎・河野俊嗣知事)、「各都道府県が主体的に向き合い、建設的に意見を交換していく」(大分・広瀬勝貞知事)などの意見が出た。政府に求めたい事として「安全保障の問題は日米政府で協議し、政府の考え方を、地元はじめ国民に理解を求めることが必要」(福岡・小川洋知事)などの回答があった。

 佐賀(山口祥義知事)、鹿児島(三反園訓知事)、熊本(蒲島郁夫知事)は、各設問に回答せず、自由記述に「国家安全保障は国の責務で、沖縄の米軍基地問題も国が責任を持って解決を図るべきだ」(佐賀)、「全国知事会の研究会は基地負担の状況を広く理解し、共通理解を深めることを目的に、さまざまな課題を議論すると認識している」(鹿児島)などと記入。熊本は「国の外交・防衛に関する問題は、国の専管事項で発言は差し控える」とする一方「国会、国政選挙の場などで国民的な議論を深めていく必要があると考える」とした。

 神吉代表は「全知事が回答してくれたのは良かったが、基地問題についてもう一歩踏み込み、自分の地方自治が抱える問題として捉えてもらいたかった」と話した。