「補償でなく命の問題」 米軍ヘリ伊計不時着で作物被害・上田さん


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ヘリの排気熱で枯れた黄金イモの葉を手にする上田淳子さん=うるま市与那城伊計

 【うるま】20日にうるま市与那城伊計に不時着した米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリが21日に農道から離陸した際、排気熱により畑の作物が焦げた。不時着現場の横で黄金イモを栽培している上田淳子さん(68)は「今回は葉だけの被害で、地中のイモには影響はなかったが、日中はこの場所で仕事をしている。もしその時に落ちてきたら怖い」と声を震わせた。

 沖縄防衛局から補償について連絡が来たが「補償の問題ではない。命に関わる安全の問題だ」と訴えた。不時着後も同型機やMV22オスプレイが1時間に何度も飛ぶ状態について「米軍はわが物顔だ。日本政府が許しているからではないのか」と指摘した。

 上田さんは伊計島内で2~3千坪の畑を手掛けている。「伊計の黄金イモは人気があり、年中収穫しているが今の季節が一番おいしい。今回負傷者がいなかったのは良かったが、高校生と植え付けたイモの葉が焼けてしまった」と肩を落とす。イモは島内のインターネットを使った通信制高校「N高等学校」の生徒らと3カ月前に植え、今週には収穫予定だという。

 上田さんは20日の米軍の演習について「普段とは違っていた。家の上空をヘリが飛んでいたので、どこかおかしいと不安に思っていた」と振り返る。その後、家から畑の中にヘリが降りていくのが見えたという。「いつかヘリが家に当たらないか、本当に怖い」

 夫の清さん(69)は、24日に玉城正則自治会長が中嶋浩一郎沖縄防衛局長に署名を手渡す際も同席し、「伊計島は辺野古の基地からそれほど遠くなく、米軍機が飛ぶ回数も多い。米軍に対しては住民が感じる不安を強く訴え、指導してほしい」と話した。

 また、「不時着して以降、畑に規制線が張られたり、要請に行ったりと畑仕事ができなかった」と語った。