普天間運用停止進まず、知事に責任転嫁  稲田防衛相


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】稲田朋美防衛相は11日の会見で、米軍普天間飛行場の返還合意から12日で21年を迎えることに対し「昨年末の最高裁判決、昨年3月の和解の趣旨に従って、移設事業を進める」と述べ、名護市辺野古の新基地建設を推進する考えを改めて明示した。

 政府と県が約束した普天間飛行場の2019年2月までの運用停止(5年以内運用停止)は、「厳密な定義はない」とこれまでの見解を踏襲した。運用停止の実現に向けては「辺野古移設に地元の協力が得られることも前提」だとの主張を重ね、辺野古の埋め立て承認を取り消すなどした翁長雄志知事に責任転嫁した。
 ただ防衛省は今後2~3年かけて普天間飛行場の補修工事を進めるとしている。そのため辺野古の新基地建設とは関係なく、19年2月の期限を過ぎる形で補修工事を進めて飛行場が使用されることになる。
 返還合意から21年を迎えても普天間飛行場の危険性が除去されない現状について、稲田氏は「辺野古移転や沖縄の負担軽減にかかる政府の取り組みは説明を尽くす努力を継続する必要がある。今後も政府全体で連携し、あらゆるレベルで沖縄県との対話を深めていく」との考えも示した。【琉球新報電子版】