戦時と同じ道歩む 炎天下、800人平和大行進


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平和を祈りながら多くの遺族が歩いた平和祈念大行進=23日午前11時半すぎ、糸満市の平和祈念公園

 【糸満】糸満市役所から平和祈念公園までの約9キロを歩く第56回平和祈願慰霊大行進(主催・県遺族連合会、日本遺族会)には、県内外から子どもや戦争体験者ら約800人が参加した。炎天下、72年前に同じ道を歩いた住民に思いをはせ「当時と今は比べられない」とつぶやく人もいた。

 孫と参加した與那嶺エイ子さん(74)=南風原町=は、会ったことのない父を思い、一歩ずつ歩を進めた。母から父のことを聞いたのは与那嶺さんが60歳になってからだったという。与那嶺さんは「母は戦争のことを決して語ろうとしなかった。普段も何かにつけて父を思うが、今日は特別だ」と語った。

 12回目の参加という戸塚範之さん(83)=埼玉県=は、19歳だった兄をヤップ島沖で亡くした。戸塚さんは「戦争は、絶対にやっちゃいけない。世界を何としてでも平和にしなければいけない」と何度も言い聞かせるように語った。