枯れ葉剤、県内貯蔵を否定 国防総省「輸送船寄港記録ない」


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 【米ワシントン19日=松堂秀樹本紙特派員】国防総省は19日、日本政府関係者に対して県内の米軍基地で枯れ葉剤が貯蔵された証拠がないと説明した。

1972年までにドラム缶2万5千個分に上る分量が県内に貯蔵されていたことが米陸軍化学物質庁(CMA)の2003年の報告書に明らかにされているが、国防総省は本紙の取材に対し「同報告書は不正確で、事実を反映したものではない」と回答。現在までに沖縄で枯れ葉剤が貯蔵された記録は見つかっていないとした。
 国防総省によると、同省は日本政府の要請に応じて調査を開始。過去2年間で取り沙汰された県内での枯れ葉剤貯蔵について「枯れ葉剤をベトナムから運んだ輸送船が沖縄に寄港した記録がない」との理由で「現在まで枯れ葉剤が沖縄で貯蔵された形跡は見つかっていない」と過去の報道を否定した。一方で、有害な化学物質が含まれる可能性がある除草剤を県内の基地に埋めたことは認めたとみられる。
 一方、1年半前から県内で枯れ葉剤が貯蔵されていたことを元軍人の証言などで明らかにしてきたジャパンタイムズ紙のジョン・ミッチェル氏は15日付の記事で、調査責任者を務めた退役空軍大佐のアルビン・ヤング氏が枯れ葉剤の研究資金を国防総省や枯れ葉剤の製造会社から受け取っていたことを指摘し、中立性を疑問視した。
 ミッチェル氏は本紙の取材に対し「米政府は枯れ葉剤を有害だと知りつつ70年代まで安全だと説明し、それ以降もベトナムで枯れ葉剤の被害に遭った人たちへの補償を拒否してきた。枯れ葉剤の沖縄への輸送や貯蔵について証言した元軍人への聞き取りを行っておらず、今回の報告書も50年に及ぶ長い否定の歴史の延長線上にある」と指摘。「嘉手納基地に枯れ葉剤を埋めた写真についてどう説明しているかなど、報告書を検証したい」と強調した。