芸能・文化

『沖縄の〈怒〉日米への抵抗』 「属国」関係打破する闘い

『沖縄の〈怒〉日米への抵抗』ガバン・マコーマック、乗松聡子著 法律文化社・2800円

 本書は「抵抗」というキーワードを軸に激動と起伏に満ちた沖縄現代史を詳細に分析した同時代史的な労作である。マコーマック氏はオーストラリア大学名誉教授であり、東アジア現代史を専門として米国の東アジア政策を広い角度から分析している国際的に著名な学者だ。

乗松氏はカナダ在住18年の間にブリティッシュ・コロンビア大大学院などを卒業。2007年に「ピース・フィロソフィー・センター」を設立し、沖縄米軍基地問題、日本とアジア太平洋地域の関係性などを世界に発信する気鋭の研究者である。
 冒頭に両著者を紹介したのは理由がある。本書はもともと英語で執筆されただけにその国際的反響も広かった。世界的に著名な言語学者であり、反戦平和主義者であるノーム・チョムスキーが本書を読んで、本紙の松堂秀樹前ワシントン特派員のインタビューに応じ、米国の沖縄軍事政策を鋭く批判したのも一例だ。ベトナム戦争に一貫して反対したチョムスキーが、その反戦思想の射程を沖縄問題にまで広げた意味は衝撃的であり、本書が及ぼした影響の深さを端的に物語る。米国の真の良心とはこのような形で表出される。
 こうした背景を持つ本書は、11章からなり、序章から3章までは琉球処分、沖縄戦、復帰前後が扱われ、近現代沖縄の血涙史と日米への抵抗史が叙述される。4章から終章(展望)までは、1996年の大田県政の代理署名拒否事件を契機に噴出した沖縄の総抵抗を基調にしながら、辺野古新基地問題、鳩山の乱、環境問題(「非」アセスメント)などがダイナミックなタッチで叙述され、著者たちの読みの深さに引き込まれる。
 最後に、何よりも強調されなければならないのは、日本の米国への「属国」体制と「不平等で共依存的な2国間の異常な関係」、それこそが沖縄基地問題の根源であるとの著者たちの熱いメッセージである。沖縄の闘いはこの「腐敗した属国関係」を打破し、日本そのものを変革し、東アジア、アジア全体を解放する先駆的な闘いであることを本書は鮮烈に伝えている。
(比屋根照夫・琉球大名誉教授)
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 ガバン・マコーマック 英国出身。メルボルン大卒。東アジア現代史が専門。1990年からオーストラリア国立大学教授を務め、現在は名誉教授。
 のりまつ・さとこ 東京都出身。慶応義塾大学卒。ピース・フィロソフィーセンター代表。

沖縄の〈怒〉: 日米への抵抗
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法律文化社
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