「書評」の記事一覧
<書評>『琉球をめぐる十九世紀国際関係史』 東アジアの世界観から解明
本書は、ペリー来航(1853年~54年)と分島改約交渉(1880年)に焦点を当て、琉球をめぐる国際関係について、日本・清朝・米国の外交史料を駆使した研究書であ ...
<書評>『沖縄における門中の歴史民俗的研究』 差異・変化絡む制度の全体像
奄美諸島から八重山諸島までの琉球弧において、門中は沖縄諸島(沖縄本島とその周辺離島)に限って分布する制度である。 とは言え、その沖縄諸島においてさえも、旧身 ...
<書評>『いま沖縄をどう語るか ジャーナリズムの現場から』 語らねば押し流される
本書は、法政大学沖縄文化研究所創立50周年記念シンポジウム「いま沖縄を語る言葉はどこにあるか―復帰50年目のジャーナリストたちの挑戦」の登壇者が当日の発言を基 ...
<書評>『「守礼の光」が見た琉球』 米占領の正当性をアピール
祖父母が脚のすねのことを“イチゴーセン”と呼んでいたのは「米合衆国一号線」(現国道58号)に由来していたのか!本書のとあるページに目を通していた時に、急に合点 ...
<書評>『宮古歌謡の研究 続2 ―歌謡に謡われた地名・場所―』 歴史空間の一端明らかに
地名には、その土地で生きる人々の生活様式や世界観が投影されている。特に歌謡に謡われた地名と場所を探ってみると、人々の生活空間から生まれ育まれたという強い要素に ...
<書評>『沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り 民俗芸能の伝統と創造をめぐる旅』 知的好奇心満たす充実論考
八重山の叙情歌・トゥバラーマの一節に「ウター イズスドゥ ヌス」(歌は歌う者こそ主)のフレーズがある。これは歌の本質を突くものだが、その一方で聴衆をはじめとす ...
<書評>『在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史』 多国間安保へ半歩先読む
国連憲章は侵略や平和の破壊に対して、「国連の統制下」で強制行動を止めるための軍隊設立を規定している。その軍隊は加盟国が提供することになっている。だが、朝鮮国連 ...
<書評>『詩集 今はむかし むかしは今』 沖縄的なもの表象する戦略
詩風はサウダージ、哀感、寂寥(せきりょう)、残存への共鳴。イクサの幻影と残存が同居する島の風景、場所の記憶の喚起で、言葉を紡ぐ。詩語は喩法をほとんど使わない。 ...
<書評>『日本バスケの革命と言われた男』 信念貫く指導者の姿
バスケットボールに興味のある人なら、全く無名であった辺土名高校が全国高校総体で3位入賞を果たしたことを一度は耳にしたに違いない。1978年、筆者である安里幸男 ...
<書評>『土地の記憶に対峙する文学の力 又吉栄喜をどう読むか』 生者と死者繋ぐ土地の磁力
又吉栄喜作品を読むと時折、迷子になる。自分の居場所が分からなくなる。時折怖くなる。足がすくんで動けなくなる。もしかしてその先には魑魅魍魎(ちみもうりょう)が潜 ...
<書評>『清ら星―伝統組踊の立方』 役者を通し写真で親しむ
本書は2021年から約1年半、琉球新報芸能面で連載した本書題名の写真企画を基に、加筆修正したものである。写真は琉球芸能の撮影を多く手掛ける大城洋平氏、役者への ...
<書評>『資料集 沖縄青年同盟』 続く同化と異化による支配
「日本に武力併合で国を奪われ、皇民化教育と同化政策がもたらされ、戦時中は集団強制死で命を落とさなければならなかった人がいて、4人に一人が戦死した。それなのにな ...
<書評>『沖縄のもあい大研究』 時代と共に変わる意味合い
「モアイ」の良さとはなんだろうか。その言葉は知っていたが、私も両親もやっていない。なんとなく居酒屋で飲み食いしている様子を思い浮かべるが、それだけではないらし ...
<書評>『校註 尚家本 喜安日記』 他の写本と比較、読みやすく
本書は1609年の島津氏による琉球侵攻を、琉球側から描いた貴重史料『喜安(きあん)日記』を翻刻したものである(附属して年譜・論考も所収)。なお、喜安日記はすで ...
<書評>『句集 交叉』 自然の本質捉える独創性
筒井慶夏の初句集『交叉』が上梓された。著者は「私たちは一刻一刻、何かと交叉しながら生きている。何気なく見たり感じたりしたことが、ふとした瞬間強く意識され五七五 ...
<書評>女たちが語る歴史 下 沖縄篇 うない〈女性〉の記録 暮らし通して知る近代史
川田文子さんと言えば、日本軍「慰安婦」問題を掘り起こし、沖縄における「慰安婦」研究のきっかけをつくった方だと想起される人は多いだろう。しかし、彼女の沖縄とのつ ...
<書評>『俳句の地平を拓く 沖縄から俳句文学の自立を問う』 俳人の壮絶な人生の軌跡
著者野ざらし延男が与える二度目の大きな衝撃が本書だ。もちろん一度目は『沖縄俳句総集』(1981年)の出版である。20年の歳月を費やして戦前から戦後までの海外の ...
<書評>『増補改訂宮良長包作品全集 宮良長包作品解説全集』 蘇った精神活動の所産
「沖縄近代音楽の父」宮良長包は明治16年(1883年)に生まれた。今年は生誕140年に当たり、記念のコンサートやコンクールなどが開催された。「沖縄近代音楽の父 ...
<書評>『伊波月城集〈近代沖縄〉言論人の航跡』 ユーモアと熱い言葉と
この本に出合うまで、私は伊波月城について「伊波普猷の弟」という程度の認識だった。 本書は、2007年にスタートした伊波月城研究会が10年以上かけて、様々なペ ...
<書評>『沖縄文学の沃野』 豊穣の歴史の諸様相描く
沖縄近代文学研究の第一人者である著者の、長年の研究成果を収録した一冊である。その内容は明治、大正、昭和期に創作された歌劇、小説、短歌を取り上げ、その諸様相を解 ...
<書評>『宮里邦雄 かく語りき 労働運動・沖縄・平和』 沖縄の痛み軽減こそ「公益」
「団結なくして勝利なし、団結なくして解決なし」と労働裁判の先頭に立って闘ってきた、わが沖縄出身の宮里邦雄弁護士が今年2月5日に亡くなられた。享年83歳だった。 ...
<書評>『聞書・中城人たちが見た沖縄戦』 追悼と回想ともにする空間
2023/11/26
#書評
沖縄戦の体験者が次々と亡くなる中、新たな記録が刊行された。中城村津覇の証言を中心に、「針の穴から抜け出るようにして生き残った」人々の記憶を整理し考察したもので ...
<書評>『沖縄の海風そよぐやさしい暮らし365日』 やさしくて新しい歳時記
ページをめくると次々と現れる心安らぐ風景。沖縄で生まれて那覇でずっと過ごしてきたぼくは、少し戸惑ってしまう。この沖縄は、今ぼくが住んでいる沖縄と同じなんだろう ...
<書評>『豊里友行写真集 那覇市第一牧志公設市場』 子どもたちに重ねる未来
著者、豊里友行は1976年、沖縄市で生まれた。コザ高校で野ざらし延男に俳句を学び、俳人として今に至る。1999年に東京渋谷の日本写真芸術専門学校を卒業し、その ...
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