「涙出る」「腹立つ」抗議拡大 辺野古掘削開始


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ヘリ基地反対協議会共同代表の安次富浩さん(左)の話を聞く参加者=18日午後、名護市辺野古

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた海底ボーリング調査が始まった18日、キャンプ・シュワブ前で開かれた抗議集会は、那覇市から大型バス3台で駆け付けた約170人が加わり、一時は400人近くに膨らんだ。「ボーリングやめろ」「調査は許さん」。調査が行われているシュワブ沿岸に向けて抗議の声を上げた。

 バスをチャーターしたのは、辺野古移設に反対する県内の政財界や労働・市民団体の有志、有識者らでつくる「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」。多くの県民に辺野古を見てもらおうと初めてチャーターバスを企画したところ、当日に200人以上が集まり、急きょ1台追加した。
 那覇から駆け付けた応援団のために、ブルーシートの日よけを100メートルに伸ばすなど、ゲート前はにぎわいを見せた。
 参加者たちは互いに腕を組み、歌手のまよなかしんやさんのギター、作曲家の杉本信夫さんのアコーディオンが奏でるメロディーに乗せて体を揺らした。「大浦湾の豊かな海はどうなるの」「辺野古の浜を守ろうよ」と高らかに歌い上げた。
 参加者は辺野古の海岸も訪れた。見詰める先には青く輝く広大な海に浮かぶ海上保安庁の巡視船や海を区切る浮票(ブイ)、施工区域を示す浮具(フロート)。参加者たちは唇をかみ、「涙が出る」「腹が立つ」と海を見詰めた。
 座り込みを約10年間続けるヘリ基地反対協議会共同代表の安次富浩さんが「ボーリング調査が始まったが、埋め立てが始まったわけではない。反対の声を無視すれば、いずれ政府のほころびが出る」と声を上げると、参加者から拍手が湧き起こった。
 辺野古まで車で2時間かかるため、なかなか足を運ぶことができなかったという田中知子さん(65)=南城市知念=は「機会があればまた来る」と語った。
 八重瀬町の大城孝太郎さん(67)は「国の強硬さを県民全体で訴えることができるよう運動を広げる必要がある」と多くの県民が参加できる継続した取り組みを訴えた。
(大城和賀子、田吹遥子、清水柚里)