辺野古、松島埋めるのと同じ 外間盛善氏(元自民党県連会長)


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外間盛善氏

 政府は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた海底ボーリング調査を開始した。移設に対して県民の反対が根強い中での作業の強行をどう見るか。政界の重鎮や有識者らに受け止めを聞く。初回は自民党県連元会長で県議会議長も務めた外間盛善氏(77)。(聞き手 新垣和也)

  -辺野古沖でボーリング調査が始まった。
 「世界一危険と言われた普天間飛行場を一日も早く移設しないといけない、そのためには人の少ないやんばるへ持っていこうと日米両政府は考えたかもしれないが、私は憤まんやるかたない。知事も両政府には従わざるを得ないと埋め立てを承認されたのだろうが、このことについては県民は納得していないと思う」
 -美しい海を埋め立ててはならないと公言している。
 「大浦湾は海と山の自然景観のバランスが本当に優れた場所だ。しかもジュゴンやウミガメもいる。きれいな海にしか回遊しないといわれるジュゴンが来る海は沖縄にもなかなかない。『ああ松島や』と歌われた松島湾(宮城県)にも負けないほど景観が豊かだ」
 -松島を埋めるのと同じという意味か。
 「そうだ。(本土で)ああいうところを埋めて米軍が使うと言ったら、そうさせますか、ということだ。そう言えばヤマトの人にも分かってもらえるのではないか。観光県として守らなければならない資源だ」
 -自民党県議OBとして風当たりは強くないか。
 「それはない。基地反対ということではない。強いて言えば、内陸部の基地内に移すということであれば、いいとは思っている。だがこれまで米側に用意して差し上げた米軍基地はない。占領されたか、強制接収で収容されたかのどちらかだ。埋め立てるのはここです、どうぞ使ってくださいと日本や沖縄側が示すのは初のケースになる。そうなると、もっと提供せよとか、さらに広大な自然をつぶしても提供せよということにならないか。一事が万事になりかねない」
 「国際的な緊張が高まり万が一、戦争になった場合、去る大戦で分かるように、基地のある所が集中攻撃される。全国で一番甚大な被害を受けるのは沖縄だ。大戦の二の舞いとなりかねない」
 「太平洋の要所でアジアの中心的な場所にあり、地理性に恵まれた場所だが、基地を押し付けられ、犠牲を強いられた。沖縄の子や孫たちに米軍基地の島という痛ましい環境、同じ運命を引き継ぐことは、日米政府の押し付けをはね返す力がなかったということになる。くゎんまが(子孫)に申し訳ないという思いだ」
 -どう打開すべきか。
 「まず県民に大浦湾を見てもらいたい。見ていない人にはあの自然の美しさは分からない。観光県沖縄がああいう所を埋めて飛行場を造ってしまったら大きな悔いを残す。禍根になる」
(随時掲載)