政治

辺野古「沖縄同士がけんか、政府の責任」 憤る基地従業員

日本人警備員によって山城博治さんが基地内に引きずり込まれる写真が掲載された2月23日付本紙を読む消防士の男性

 「むごい。異常だ」「許せない」。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で抗議していた平和運動センターの山城博治議長(62)が2月22日、米軍の日本人警備員によって拘束された。日本人警備員は2人がかりであおむけの山城さんの足をつかみ、背中を引きずりながら基地内に連行した。

県内の米軍基地で働く日本人従業員は彼らの姿をどう思ったのか。沖縄で生まれ育った基地従業員2人が心境を語った。
 米軍嘉手納飛行場に消防士として勤める20代後半の男性は、引きずられる山城さんの写真を見て「許せない」とつぶやいた。
 この男性は一日置きに24時間勤務を繰り返し、消防本部では米空軍の軍人の消防士と寝食を共にする。建物火災や病人の搬送だけでなく、戦闘機のトラブルなどが起きれば文字通り最前線で米兵の命を守る。
 男性は「軍からの指示がなければ、こんなことをするわけがない」と断言する。「許せない」と思う半面、「彼らにもためらいの気持ちがあったのではないか」と感じている。
 「彼らはサングラスやマスクで顔を隠している。家に帰って一人のウチナーンチュに戻ったとき、自分の子どもに見せる顔もないのだろう。もし自分が同じことを指示されれば、仕事を辞めるだろう」と話した。
 男性は辺野古への新基地建設について「(政府に)民主的な解決策を示してほしい」と願う。現在の状況は「民主主義国家としてあるべき姿ではない」と感じている。そして「本土の1票を持っている人にこそ考えてほしい」とした上で「基地さえなければ、こんなことは起きない。最終的には基地のない沖縄になってほしい」と言い切った。
 県内の米軍基地に勤める別の日本人男性=20代後半=は日々、米軍人の上司の指揮系統下で働いている。この男性も「自分があの警備員と同じ立場だったら仕事を辞める」と話した。
 「まるで動物を扱うようだ。彼らもウチナーンチュとして痛みを感じながら仕方なくやっているのだと思いたい」
 ただ、男性は「沖縄でこれだけ安定した収入をもらえる仕事はそうない中、拒否できない人がほとんどだろう」とも言う。「結局、沖縄の人同士でけんかさせているのは政府。すでに辺野古に新基地はいらないと選挙で民意を届けてあるのに、現場で抗議活動をしなければならない人がいること自体が悲しい」
 この男性は「僕たちは一票一票投票したが、意味のない選挙だったのではと無力感がある」とする一方、「これが沖縄では戦後ずっと続いてきた。(民意を伝えることを)やめるわけにはいかない」と語った。(安田衛)