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「健康格差に若者達で向き合う」山田夏彦さん <私たちのSDGs GSCOメンバー紹介 4 >


「健康格差に若者達で向き合う」山田夏彦さん <私たちのSDGs GSCOメンバー紹介 4 >
この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎

山田夏彦 – Natsuhiko Yamada- 沖縄県立中部病院

2022年東京医科歯科大学医学部卒。現沖縄県立中部病院研修医。学生時代に基礎研究に従事し、Imperial College Londonに半年間研究留学。細胞代謝に関して共著論文を執筆し、Willy Top Cited Article受賞。HarvardやStanfordのMachine Learning, Deep Learning, Big data analysisなどを修了。健康格差を是正するため、健康の社会的決定要因に 着目して慈善活動を行い、Outstanding Leadership Award, Visionaries Award受賞。Tokyo 2020ではVolunteer Leadとして、現在まで国境なき医師団ボランティアとして活動。社会疫学的視点から沖縄県の健康格差是正、地域・日本創生に向け、Global Shapers参画。

 ―現在、取り組んでいることを教えてください。

 かつて長寿県として知られた沖縄県の相対的な短命化の原因として、壮年男性の夭折があげられています。沖縄県の若者が中心となって、世代や専門分野を越えてこの社会課題について深く議論し、沖縄県の保健医療政策に提言・インパクトを与えられるような場の創出を模索しています。

 ―問題意識を持つようになったきっかけを教えてください。

 2017年、大学1年次の春に訪れた八重山諸島で、その美しい自然に勝るとも劣らぬ現地の方々の優しさに心を打たれ、いつか現地の方々のために活動したいと思ったことがきっかけです。旅行を終え、東京にある実家の書斎で現地の医療情勢を調べていく中で、離島を中心に国内に厳然と存在する健康格差に衝撃を受けました。

 時は流れ、2019年、英国に研究留学し、人種問題など様々な社会課題を眼前にする中で、異国人には言語の壁が大きく立ちはだかる”極東の経済大国・長寿国「日本」の僻地・島嶼地域に潜む健康格差”に敢えて目を向け、直接的に解決出来るのは日本人だと考えるようになりました。2020年6月、全国の同志と共にこの課題と正面から向き合うため、”離島医療”をテーマにしたヘルスケア・アイデアソン”No One Left Behind”を開催し、全国、そして海外から専門分野や国籍を越えて参加者が集まりました。

 閉幕後、参加者や審査員から持続的な活動を希求する声が多数聞かれ、翌月NPO GlocaLandを設立しました。課題の中長期的かつ根本的な解決には現地の方が旗を振るようにならなくてはならないとの考えから、組織運営が軌道に乗ってきた翌年、代表を沖縄県出身の琉球大学医学部生に引き継ぎました。

 そして、2022年、臨床の現場から沖縄県の健康課題に取り組むため、沖縄県立中部病院での臨床研修を開始し、同年夏、分野を越えてこの課題に取り組むためGlobal Shapers Communityに参画しました。公衆衛生的な視点・アプローチを学ぶため、2024年から米国Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health, Master of Public Healthの履修を開始しています。

 ―これからの沖縄にどのように貢献していこうと考えていますか。

 すべての人が生まれた国や地域に関わらず笑顔で過ごせる世界に近づけるよう貢献したいです。沖縄で暮らす全ての方々が、健康を享受し、沖縄ならでは文化・価値観に基づいて幸福に過ごせる社会になってほしいです。