<金口木舌>学ぶ意欲に目を向けて

 10年前のことだ。成人式を前に南風原町立南星中出身の若者12人が、17歳で他界した同期生の自宅を訪ね、仏壇に手を合わせた。その模様を取材し、小中学校時代の思い出を聞いた

▼同期生は故大城ちなみさん。脳性まひの障がいがあり会話も難しかった。ちなみさんは両親の働き掛けがあり、特別支援学校ではなく地元の小中学校で学んだ。当時、重度障がいのある子が地域の学校に通う先例はなかったという
▼学校では生徒が交代で車いすを持ち上げ移動を助けた。車いすのタイヤに雑巾を結び一緒に清掃をした。共に学び共に育つ。支援する側もされる側もない。話を聞いて実感した
▼県内でも重度障がいのある児童生徒が地域の学校に通う事例は増えている。知的障がいのある仲村伊織さんもその一人。北中城中学を卒業し、県立高校への入学を目指している。3度目の一般入試に挑んだがかなわなかった
▼受験した高校は「教育課程をこなすには至らない」と判断した。教育課程の履修見込みのない人の入学は適当ではないという考え方が垣間見える。「学力」に偏らず「学ぶ意欲」を評価する仕組みがあってもいい
▼大阪府や千葉県には重度知的障がいのある生徒を受け入れている高校がある。先進地から学べることは多いだろう。生徒は多様な人々の生きる社会へ出ていく。共生社会に向けて学校の在り方を考える。



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