<金口木舌>一文字の重さ

 視覚障がい者向けに毎日新聞社が発行する週刊点字新聞「点字毎日」が日本記者クラブ賞を受賞したと4月28日付本紙の記事で知った。創刊は1922年。戦争中も発行を続けた「指で読む新聞」だ

▼県内の公立図書館で現物に触れたことがある。点字の列をなぞったところで読むことはできないが、一文字の重さが指先に伝わってきた。障がい者の暮らしに欠かせない情報が、点字一つ一つにこもっている
▼鉛活字を用いて印刷した本や新聞を読んだ時代は遠い昔。指で印面に触れると小さなでこぼこを感じた。今はスマートフォンの液晶画面を指で触って文字を読む時代だ。文字の重量は減じてしまったか
▼半面、ネットのおかげで一文字の伝播力(でんぱりょく)は劇的に高まった。その反動だろうか。安倍政権の閣僚や元閣僚らが繰り出す失言や暴言の数々はネット上で読むと軽さが際立つ。安倍政権下、政治の言葉の値打ちは地に落ちた
▼文字の重さで言えば最重量級の日本国憲法に「自衛隊」の3文字を加えようと安倍晋三首相は躍起だが、公文書改ざんやイラク日報隠蔽(いんぺい)の不祥事を見るにつけ、不安が募る。この政権が国のカタチを変えてよいのか
▼施行から71年。数々の批判にさらされながらも国民が磨きをかけた憲法だ。一文字の重さは他に代え難い。文字や言葉の価値を軽んじる安倍政権が太刀打ちできるものではない。



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