<金口木舌>「残業廃棄物」はごめん


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 小中高校生の職場見学を受け入れると、必ず聞かれる質問がある。「この仕事をやっててよかったと思うのはどんな時?」。しばし考えて答える。「読者から記事に反応があった時」と

▼職場見学から学ぶのは子どもだけと限らない。やりがいや苦しいこと、多くの質問が繰り出される。受け入れ側も答えを探りつつ自分と向き合う。その中で日々の忙しさを言い訳に忘れかけていた初心を思い出す
▼名護市の東江中学校は1年生130人全員が就業体験に参加した。体験後の発表会に招かれた際、印象に残る生徒の感想があった。「どんな仕事も人を笑顔にできる」。だから一生懸命働くのだ、と
▼こちらも働く喜びを再確認する機会となった。忙しい、難しいという言い訳よりも「自分の仕事で笑顔になる人がいる」というプラス志向は気持ちがいい。大人も子どもも仕事に対する「気付き」があった
▼名護のある先輩が忠告した、強烈な一言も身にしみる。「若いうちはがむしゃらに働けばそれでいいと思っている。そういう君らを何と言うか。いずれ『残業廃棄物』と呼ばれる」。確かに仕事以外に何もない人生では味気ない
▼今風に言えばワークライフバランスの充実か。仕事を誇りとしつつ、趣味など自分らしい生き方も両立させたい。自身と家族のために何ができるか。まずはオーバーワークや“帰宅拒否症”からなくすか。