<金口木舌>「拡散」させたい優しさ


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 心和む話題が新聞やテレビ、インターネット上で評判を呼んでいる。京都教育大で誤発注された大量のプリンを、ツイッター(短文投稿サイト)などで知った学生たちが購入に協力した話だ

▼20個の予定を、担当者が誤って4千個を発注。大量のプリンが並ぶ陳列棚に「お願い! プリンを買ってください」などと張り紙をしたところ、学生らがツイッターなどで「買ってあげて」などと購入を呼び掛け、店頭に並んだ2時間後には完売した
▼この大学から販売協力を要請された近隣の大学でも完売したという。誤発注は褒められる話ではないが、担当者のミスを助けようという学生たちの心意気に、温かな気持ちになった
▼ツイッターや交流サイトのフェイスブックなどSNS(ソーシャルネットワーク・サービス)は、東日本大震災で被災自治体の情報発信や安否確認に活用された。孤立した避難所からロンドンへ送られたメールをきっかけに、ツイッターで東京へ呼び掛け、被災者を救出した「気仙沼の奇跡」の例もある
▼素早く広範囲に情報を発信できる特性が発揮されている。SNSにはこうした効用がある一方で、不確かな情報も飛び交う。ネット社会では情報を受け取る側にも情報の見極めが求められる
▼SNSが暮らしに根差しつつある中、正しい情報、人々の優しさが世界中に広がってほしい。