<金口木舌>沖縄置いてけぼり解散


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 サッカーW杯アジア最終予選・日本対オマーン戦のパブリックビューイングをやじ馬感覚でのぞいた。会場のミュージックタウン音市場には200人が結集。大画面、大音響の効果に半信半疑であったが、興奮度は予想以上だった

▼歓声、悲鳴、沸き上がる拍手。競技場のスタンドに陣取る観客の気分を屋内で味わえる。会場で売られていたお酒も手伝って、選手の華麗なプレーに酔うことができた
▼その数時間前にライブ中継された野田佳彦首相と安倍晋三首相の党首討論も別の意味で楽しめた。解散日が宣言されるとは予想外。小さなテレビ画面の前で若干の興奮を覚えた
▼スポーツとは異なり手の込んだ筋書きがあったはずだと邪推する。それにしても熱戦後の晴れやかさ、余韻とは無縁の苦々しい結末には、舌打ちやため息で応じるしかなかった
▼過去にも歴史に残る解散があるが、名称の面白さでは1986年の「死んだふり解散」、古くは53年の「バカヤロー解散」が浮かぶ。今回は「実況中継型解散」とか「党首ののしり解散」とでも呼ぼうか
▼72年沖縄返還決定後の69年末の「沖縄解散」に倣えば、普天間問題やオスプレイ配備で民意を振り切った末の「沖縄置いてけぼり解散」とも言いたくなる。民主政権にレッドカードを突き付けてきた県民がジャッジを下す番。この3年間の「ゲーム」を冷静に振り返りたい。