<金口木舌>仕掛けを見抜く


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 ポケットモンスター以来の大ブームと評される「妖怪ウォッチ」のアニメとゲームは、個性豊かなキャラクターが登場し、子どもの心をわしづかみにする

▼人間に取り付き、めらめらと熱い心を注入する「メラメライオン」、場の空気を和ませる「ホノボーノ」。身近にいそうなキャラクターの面白さが、人気の秘密なのだろう
▼大旋風の背景には「クロスメディア」と呼ばれる企業の巧妙な仕掛けがある。さまざまな企業が提携してゲームとアニメ、グッズを商品化し、その相乗効果で購買意欲をそそる戦略だ
▼相乗効果といえばここ数年、自衛隊が協力した映画やドラマが目を引く。最近では「永遠の0」「空飛ぶ広報室」などが話題になった。制作側には自衛隊の協力で艦船や戦闘機のリアルな映像を撮れるだけでなく、費用的な利点もある。自衛隊も効果的なPRとなる
▼人間模様を描くドラマなど内容は多岐にわたっているが、注意が必要なのは戦争賛美を狙った作品だ。専守防衛に徹したい自衛隊にとっても、その片棒を担がされるのは本意ではなかろう
▼映画で描かれる容姿端麗な特攻隊員や軍艦に「かっこいい」と言う子どもたちが、戦争の本質を知らぬまま成長した後を考えると複雑な気持ちになる。戦争ができる国へと日本が突き進む今だからこそ、巧妙な仕掛けを見抜く力が求められている。