<金口木舌>「ベノコ」推進の首相補佐官


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 浦添を「うらぞえ」と呼ばないで。そんな願いをかなえるキャラクターがいた。浦添市観光協会の「ウラソエ仮面」だ。誤読しがちな他府県の人を正すというパロディーが話題を呼んだ(サイトは3月で終了)

▼「人(ちゅ)ぬ言いばっぺーや 聞(ち)ち直(のー)し」という沖縄のことわざがある。放送人の上原直彦さんがエッセーで説く。相手の言い間違いをとがめるのではなく、聞き返すことで気付かせ、波風を立てないという沖縄流の教えだ
▼だが、これはどうか。16日夜の県知事選開票の生番組「週刊BS=TBS報道部」で、スタジオ出演した礒崎(いそざき)陽輔首相補佐官が辺野古を「ベノコ」と発言した。3度も繰り返した揚げ句、隣の前泊博盛沖縄国際大教授にやんわりと諭されて言い直した
▼礒崎氏は大分選出の参院議員で、国家安全保障を担う首相のブレーン。「私も役人時代から20年以上沖縄振興の仕事をしている。ずっと沖縄に寄り添ってきたつもり」とも語ったが、むなしく響いた
▼礒崎氏はそもそも辺野古を訪れたことはあるのだろうか。机上で活字を見るだけで、口に出して議論したことがあるのかさえ疑わしい
▼川内(せんだい)原発を「かわうち」と読んだ大臣もいた。この政権は地元の声を虚心に見聞きすべき耳や目にも濁点が付いているのかもしれない。沖縄は「ベノコで発展」ではなく「辺野古(移設)はバッテン」なのである。