<社説>知事が事業者と会食 県民への説明責任果たせ

 玉城デニー知事が「万国津梁(しんりょう)会議」の設置支援業務を受託した事業者と契約日前日に会食していたことが分かり、県議会野党が百条委員会の設置を主張する事態になった。知事は「私的な会食」と説明したが、疑惑を持たれること自体、あってはならない。

 玉城知事は、受託した事業者との関係、選定の理由と正当性、会食の経緯などについて、県民にきちんと説明すべきだ。
 会食があったのは5月23日。知事、受託業者、県職員らが出席したという。9月定例県議会で野党が指摘し発覚した。5月24日に事業者との契約が交わされている。受注額は2407万円だ。
 県職員の倫理規定は業者と県職員の会食を禁じる。ただし、知事など特別職にこの規定は適用されない。県職員であっても個人的な友人関係に基づく私生活の行為で、職務に関係のない会食などは認められるという。
 当初、玉城知事は問題ない―との認識を示していた。本当に問題はないのか。
 「瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず、李下(りか)に冠を正さず」ということわざがある。とりわけ公職にある者は人から疑いを受けるような行為は慎まなければならない。県民の代表である知事であればなおさらだ。
 県は、知事が職員倫理規定の対象外である点に言及した上で、私的な友人関係での会食だったこと、業者と利害関係のある職務に就く職員がいなかったこと、会食の対価は支払っていることを挙げ、倫理規定に抵触しないと説明している。
 たとえそうであったとしても、不適切と言わざるを得ない。公私混同や癒着を疑われかねないからだ。
 玉城知事は10日の定例記者会見で「県議会や県民の皆さまに多大なご心配やご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる」と謝罪した。遅きに失した印象は否めない。
 県が万国津梁会議支援業務の企画提案を公募した際、6事業者が説明会に参加した。だが実際に応募したのは委託が決まった1団体だけだ。
 野党の自民党は「最初から受託することが決まっていた出来レースではないか」と批判している。
 知事によると、会食した事業者は「個人的な友人の一人」だという。加計学園問題では安倍晋三首相の「お友達」優遇が批判を浴びた。沖縄県政でも取り巻き優先の「縁故主義」が頭をもたげつつあるのだとすれば由々しき事態だ。
 万国津梁会議は玉城知事が知事選で掲げた目玉政策である。その業務を巡って、疑いを招いたことは知事にとっても不本意であろう。
 知事に求められるのはガラス張りの県政を実現することだ。さまざまな疑念を払拭するには徹底して説明責任を果たす以外に方法はない。
 特別職を除外した倫理規定の在り方も、この際、抜本的に見直すべきだ。



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