<社説>首里城に広がる支援 世界の宝の視点で再建を

 世界遺産の首里城の火災から7日で1週間となる。県内、国内にとどまらず、海外でも支援の動きが広がっている。世界に誇るべき文化遺産の再建のために、あらゆる英知を結集していきたい。

 本社をはじめ、県内マスコミ8社は5日から首里城再建に向け共同で県民募金を開始した。異例の取り組みだ。県内外に広く寄付を呼び掛け、銀行振り込みのほか、各社で寄付金を受け付ける。
 那覇市では、首里城火災への寄付金が4日までに2億円、5日には3億円を突破した。ふるさと納税で活用するクラウドファンディングのウェブサイト「ふるさとチョイス」を通じて受け入れている。
 5日の段階で寄付した人は全国、海外も含め約2万4千人に上る。中には「沖縄のシンボル首里城が再建され、みんなの笑顔が戻りますように」などと、応援のメッセージを添える人もいるという。
 これらのメッセージからは、単なる史跡や文化遺産の枠を超えて首里城をとらえていることがうかがえる。
 沖縄戦で鉄血勤皇隊に動員され、首里城の破壊を目の当たりにした古堅実吉さん(元衆院議員)の言葉が、こうした多くの支援、共感の意味を端的に解き明かしているように思う。
 1992年に復元された首里城正殿を見た時、古堅さんは戦前の首里城と違った色鮮やかさに違和感を覚えたという。しかし時間がたつにつれ、首里城は「県民の心の支えだ」との気持ちを強めた。「志ある人たちの努力で、沖縄の心を取り戻そうと造られた」と語る。
 沖縄戦で首里城の地下には、軍司令部が置かれた。そのため米軍の標的となり、首里城は苛烈な艦砲射撃、地上戦で破壊され、焼失した。
 沖縄戦による破壊を含め、首里城は歴史上、4回ほど全焼したことがあったという。その都度、再建されてきた。
 2000年には世界遺産に登録された。「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として国内では11番目の登録となった。「琉球処分」(琉球併合)、沖縄戦など、幾多の困難に直面し、「沖縄の心」を取り戻そうとした経緯も踏まえての登録であったと考える。
 首里城公園の隣にある玉陵(たまうどぅん)での募金活動をはじめ、全国各地で寄付金箱が設置されるなど、支援の輪は急速に拡大してきた。ロシアや中国、台湾などからもエールが送られている。
 こうした支援を今後、どう生かしていくか。首里城は国が所有し、県が管理していた。再建に向けた関わり方はさまざまであろう。立場を乗り越え、多くの人々の浄財を受け入れ、皆で協力し合って造り上げていくべきだ。
 沖縄の心を国内外へ発信する首里城は「世界の宝」である。そのような視点から、前回の再建時と同じか、それ以上の熱量をもって取り組み、再び復活させたい。



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