<社説>照明弾の民間地落下 危険な訓練直ちにやめよ

 まかり間違えば人命に関わる惨事につながりかねない。米軍に対し危険な演習を直ちにやめるよう強く求めたい。

 金武町伊芸で米軍の照明弾が民間地域に落下する事故が5日に発生した。落下が確認された田んぼは、民家まで50メートルしか離れていない。
 ほかにも落ちていないか伊芸区行政委員会のメンバーが6日朝から捜索したところ、新たに2個見つかった。うち1個は、落下地点の約10メートル先が牛舎で、沖縄自動車道からの距離はわずか約15メートルだ。別の1個は道路上で発見され、近くの農作業小屋から10メートルほどしか離れていない。
 民家に落ちていれば火災を引き起こす恐れがあった。たくさんの車両が行き交う沖縄自動車道に落下したなら、死傷事故を誘発していたかもしれない。想像するだけで背筋が凍る。
 米軍は2日から8日まで近接するキャンプ・ハンセンで演習を実施すると沖縄防衛局に通報していた。陸上自衛隊は5日、ハンセンでは訓練などを実施していない。状況から、米軍が発射した照明弾であることは明らかだった。
 ところが、自分たちが訓練で使用した照明弾だと在沖米軍が認めたのは6日昼になってからだ。関係機関の照会に速やかに対応しようとしない姿勢は不誠実極まりない。幹部がたびたび口にする「良き隣人」とは程遠い態度だ。
 民間地域に落ちてきた照明弾は落下傘部分を含め全長1・6メートル。金属部分は長さ約10センチ、直径約5センチの円筒状で、重さは250グラムだった。米軍は60ミリ迫撃砲照明弾と特定している。
 目撃者の話によると、5日午後3時半ごろ、「ポンポンポン」と破裂音が響き、空中に白煙を上げて燃える照明弾のようなものが確認された。午後4時前に同じような破裂音があり、落下物の一つが落下傘を開いた状態で目の前に落ちてきたという。
 落下地点の田んぼは稲刈りを済ませた後だった。収穫する前であれば、火災が起きていてもおかしくはない。実際、照明弾やえい光弾の着弾地で雑草に引火して火災になったケースは多い。
 1972年の日本復帰から昨年12月末までにキャンプ・ハンセンや周辺で発生した火災は、県が確認しているだけで517件に上る。
 沖縄の県土面積は国土の0・6%にすぎない。そもそも、狭い島の中で照明弾などを使った訓練を実施すること自体、常軌を逸した所業と言わざるを得ない。
 そのせいで、県民の生命・財産が脅かされているのは紛れもない事実だ。政府が手をこまぬいて事態を放置することは許されない。
 政府は、県民が危険にさらされている現状を米側に説明し、沖縄で照明弾を使用しないよう強く求めるべきだ。米国が人道を重んじる国であるのなら、決して無理な要求とは受け止めないだろう。



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