<社説>大学共通テスト 「記述式」の課題再検討を

 2020年度開始予定だった大学入学共通テストの国語と数学の記述式問題導入が見送られる見通しとなった。記述式問題については採点の公平さが保たれるか、受験生の自己採点と実際の成績に大きなずれが生じないか―など、これまでにも課題が指摘されてきた。

 先に英語の民間検定試験利用も見送られた。来年1月には本番の試験まであと1年となる。結論を早く出さなければ受験生が混乱するだけだ。
 今回の大学入試改革は2020年度の導入日程ありきで、課題を明示することなく議論が進んだ拙速さが問題だった。まずは白紙に戻し、課題点を洗い出して検討し直すべきである。
 大学入試については暗記型の知識ではなく、「自分の力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したり」する思考力や判断力、表現力を問うことが重要とされた。その方向は間違っていない。だが記述式を導入する際の課題が十分に検討されていなかった。
 高い公平性が求められる入試の約50万人分の採点を2次試験までの20日以内でミスなく終えることができるとは思えない。
 4月に公表された共通テストの試行調査では国語の記述式で0・3%の採点にミスがあった。受験生千人中3人に採点ミスが生じる計算だ。
 記述式は採点者によって評価がぶれる側面はある。そのために二重のチェックなどが必要になる。採点はベネッセグループが請け負うが、国会論議の中で採点者は7700人に上り、学生やアルバイトを含むスタッフが行う可能性が明らかになった。質の確保が難しいのではないか。
 受験生の自己採点と実際の成績のずれについても懸念は消えない。受験生は一次試験を自己採点して出願先を決める。試行調査では自己採点と実際の成績がずれた割合が国語で最大33%、数学でも14%に上った。このままでは受験生が自分の試験結果を正確に把握できずに出願先を決めなくてはならなくなる。
 そもそも今回の大学入試改革は民間の事業者が負う部分が大きい。英語では民間の検定試験を導入することになったが、受験会場が地方に少ないことや高額な受験料が問題になった。
 国語、数学の記述式問題の採点を担うベネッセは受注を高校側に伝えて自らの模試の営業活動に利用したとして文科省から再発防止を求められた。採点の担当者は採点マニュアル作成のため共通テスト本番前に問題や回答例を知ることができる。情報漏れの対策は万全だろうか。
 言うまでもなく、受験はその人の人生をも左右する大きな関門だ。それだけに、公正公平な試験で、受験生が自己の力を最大限発揮できる環境が必要だ。採点ミスや自己採点とのずれ、受験機会の不平等などは論外だ。



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