<社説>飲酒運転の横行 不幸を招く危険な行為だ


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 飲酒運転が横行している。模範となるべき議員までが相次いで酒気帯び運転の容疑で逮捕される事態になった。

 酒を飲んで運転するのは周囲に危険を及ぼす悪質な行為だ。県民一人一人が「飲酒運転をしない、させない、許さない」という意識を強く持ち、その撲滅に努めなければならない。
 酒を飲むと、自分では気付かないうちに、注意力、判断力、運動能力が低下する。そのような状態でハンドルを握れば、重大事故を引き起こす危険性が高まる。
 だからこそ道路交通法は飲酒運転を禁じる。酒酔い運転の罰則は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」だ。2018年には県内で1531人が免許取り消し処分を受けている。
 飲酒運転で昨年摘発された人を対象に県警が実施したアンケート調査によると、出勤時間帯の午前6時~10時に摘発された人が最も多く、31・1%に上った。深酒が原因と考えられている。
 個人差はあるが、500ミリリットル(アルコール度数5%)の缶ビールを1本飲んだ後、体内でアルコールが分解されるまでに4時間かかるといわれている。肝機能などの状態によっては、もっと時間を要することもあるようだ。
 本人は一晩寝たから大丈夫だと思っていても、飲酒後の経過時間、飲んだ量によっては、体の中にアルコールは残っている。反応が鈍くなった状態で運転をするのは危険極まりない。
 翌日、車を運転する予定があるのなら、酒は控える方が無難だ。飲むとしても少量にとどめ、短時間で切り上げる必要がある。
 道交法は飲酒運転をする恐れのある者への車両の提供、酒類の提供を禁じている。酒気を帯びていることを知りながら乗せてくれるよう要求・依頼して同乗することも禁止されている。1杯ぐらいならいいだろうと、酒を勧めるのは法に触れる。
 昨年、県内で起きた交通人身事故に占める飲酒絡みの事故の構成率は1・76%で全国ワースト2だった。全国平均の実に2・1倍である。
 摘発された事例は氷山の一角と見た方がいい。自分だけは大丈夫だという身勝手な思い込みから飲酒運転を繰り返す悪質なドライバーが潜在化している可能性もある。
 09年に施行された沖縄県飲酒運転根絶条例は「公職にある者は(中略)飲酒運転の根絶に率先して取り組むものとする」と定める。
 ところが、4日には中城村議が、8日には嘉手納町議が摘発された。条例の趣旨が、県民の間に十分浸透しているとは言い難い。
 年末年始は忘年会や新年会など、酒席が増える時期だ。飲酒運転の先に待っているのは不幸な結末しかない。そのことを肝に銘じ、「飲んだら乗るな 乗るなら飲むな」を徹底したい。