<社説>大麻売買で20人摘発 高校生の実態調査急務だ

 県警と九州厚生局沖縄麻薬取締支所が、県内で大麻を密売するなどしたとして、大麻取締法違反容疑で計20人を摘発したと発表した。米軍属や少年を含む多人数の摘発は、薬物まん延の深刻さを改めて浮かび上がらせた。

 県警は今年6月にも高校生5人を含む未成年者10人の摘発を発表しているが、その事件で逮捕された当時高校生の少年が持っていた大麻が端緒となり、売買や栽培に関わった者の摘発につながった。
 今回の摘発では、福岡県宇美町の元町議や県内の米海兵隊軍属の男を主犯格として逮捕している。元町議が沖縄にいる軍属に宅配便で大麻を売り渡し、この軍属を通じて高校生の少年3人や別の海兵隊軍属など県内の男女計16人に大麻が渡っていたという。
 元町議が過去に沖縄で飲食店を経営していた際に、軍属と知り合ったようだ。
 元町議は逮捕時点で現職だった。高校生にまで行き渡る薬物流通の供給元となっていたのなら、将来を担う子どもたちを守る立場にある公職者として絶対に許せない行為だ。規範意識や倫理観はどこへ行ったのか。営利を目的に薬物を拡散させる人々に対し強い憤りを覚える。
 元町議から大麻を購入した軍属は、当時高校生だった自身の息子に大麻を渡し、ここから高校生を含む少年たちへの販売につながった、とされる。息子に薬物を渡して売買させるという親の感覚も信じがたいものがある。
 違法な売買ルートに軍属が関わっているところは、米軍基地が間近にある沖縄だからこそと言える。薬物がまん延する背景として米軍基地が温床になっていたり、捜査の壁になったりしていないか検証が必要だ。
 今回の摘発は、大人たちの違法な薬物売買の広がりに、未成年者が簡単に巻き込まれていく事実を示している。
 県内では2019年に大麻取締法違反容疑で137人が摘発された。5年前の約3倍に増えている。「覚醒剤より危険性が少ない」といった誤った情報がインターネットなどで流布され、若者が安易に大麻に手を出す傾向を助長している。
 会員制交流サイト(SNS)で高校生が大麻の取引に関わるなど、入手のハードルが下がり、実態が見えにくいことが対策を難しくしている。捜査当局による事件の究明だけでなく、生徒へのアンケートの実施など、学校や行政を挙げた実態調査も急ぐべきだ。現状を把握することで取るべき対応が見えてくる。
 県内の公立、私立を合わせた中・高校での「薬物乱用防止教室」の開催率は17年度で75・3%だった。47都道府県中43番目に低い。学校現場で薬物の恐ろしさを教える取り組みを強化する必要がある。子どもたちがネットの情報をうのみにせず、正しい知識を身に付ける教育を早い段階で講じていきたい。



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