<社説>首相補佐官便宜疑惑 政府が調べ説明すべきだ

 東村高江の米軍ヘリパッド建設に関し、菅義偉官房長官の側近といわれる和泉洋人首相補佐官が2016年に電源開発(Jパワー)側に工事への協力を求め、その見返りに便宜を図る約束をしていたことを記す内部文書が明らかになった。

 文書には「何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい。海外案件は何でも協力します」と記されている。事実なら行政の公平性をゆがめる行為であり、断じて容認できない。
 和泉氏は本紙の取材に「米軍北部訓練場のヘリパッド建設事業は沖縄防衛局所管」と回答しただけで、文書の真偽にすら答えていない。「全体の奉仕者」なのだから、公平性を疑われる事案に対し説明を果たす責任がある。
 憲法15条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」と定める。文書の通りであれば、和泉氏の行為は「全体の奉仕者」には程遠く、公務員としての自覚を欠いていると言わざるを得ない。
 内部文書によると16年9月14日、和泉氏が北村雅良Jパワー会長を首相官邸に呼び、「反対派の活動もかなりのもので、あと3カ月で完成させるには、建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい」と協力を求めた。
 Jパワーはヘリパッド建設予定地に隣接した場所に施設を所有していた。担当者は当初、反対する住民らを考慮して「中立を守りたい」と建設への協力を拒否していた。
 文書で際立つのは「3カ月で完成させる」ことへの和泉氏の執着と、菅氏の存在を背景にしたどう喝とも取れる発言だ。和泉氏は「国が米国との関係で急いでいる事業と受け止めて協力してほしい。中立とか言うのは勘弁してください」と発言し、「官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、国の問題」と、国策を強調して協力を迫ったとされる。
 北村会長は「国の強い要請と受け止める」と応じている。実際に施設は沖縄防衛局が完成までの3カ月間使用した。国に許認可権を握られ弱い立場にある民間企業が要請を拒否するのは難しいことだっただろう。
 3カ月後の12月、工事が残る中、「完成式典」が開かれ、ケネディ駐日大使と菅氏が出席した。日程ありきで工事を強行した様子が読み取れる。
 北部訓練場は全7513ヘクタールのうち4010ヘクタールを返還する条件として東村高江区を取り囲むように新たに六つのヘリパッドが造られた。高江の住民が反対したにもかかわらず、文書では和泉氏が「反対は活動家だけ」と述べ、「沖縄県も水面下では『やってくれ』となっている」とフェイク(偽)とも取れる話をしている。今、住民は騒音や事故の危険のただ中に置かれている。
 政府は文書が事実か、Jパワーに対する便宜供与があったのかどうかを調査し説明する責任がある。



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