<社説>20年県内政局展望 県議選が針路を左右する


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2020年は沖縄の針路を大きく左右する政治決戦が控えている。

 県内政局の天王山は6月の県議選である。玉城デニー知事を支える県政与党「オール沖縄」勢は、定数48のうち25議席を有し、過半数を占める。県政与党が過半数を維持するか、自民などの野党の議席数が逆転するかどうかが最大の焦点だ。
 13選挙区で66人が出馬に動いている。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の是非が最大の争点になる見通し。一昨年9月の県知事選や昨年2月の県民投票、4月の衆院3区補選、7月の参院選に続き、辺野古移設への民意が問われる。
 過去の県議選を見ると、辺野古移設に反対する県議が08年以降3回連続で多数を占めてきた。14年に誕生した翁長県政、それに続く玉城県政は、与党の支持を背景に、新基地建設を進める政府と対峙(たいじ)してきた経緯がある。与野党の構成比は全国的にも注目を集めそうだ。
 沖縄には米軍基地問題以外にも、先島への自衛隊配備、21年度に期限を迎える沖縄振興計画への対応、子どもの貧困対策、首里城再建への取り組みなど、大きな課題が山積している。候補者がこれらの問題にどう向き合い、どのような政策を掲げるかにも注視したい。
 就任3年目となる玉城知事の県政運営をどう評価するかも争点となる。二つの法廷闘争を国と繰り広げている辺野古問題のほか、山積する県政の課題への解決手法にも審判が下される。自身の政策や行動に対し、有権者から広く理解を得たい知事にとっても正念場の選挙となる。
 県議には、県政運営のチェックだけではなく、政策提言や地方分権の推進など、主体性が求められる。国政選挙や首長選挙の候補者にもなり得る人材かどうかという視点も必要だろう。
 今年は衆院解散総選挙の可能性も取り沙汰されている。時期は流動的だが、県内各党は常在戦場で候補者の人選に臨んでいる。県議選同様、辺野古新基地建設の是非が問われよう。次期振興計画への対応や経済ビジョンも大きな争点となる。
 沖縄4選挙区のうち3議席を有する「オール沖縄」勢が議席を維持・拡大できるのか、それとも自公維勢力が議席を挽回するかが焦点だ。玉城県政への評価や、新基地建設を強行している安倍政権の評価も投票に影響を与えそうだ。
 このほか、糸満市、西原町、北中城村など9市町村の首長選挙、金武町議選も行われる。まちづくりなど、身近な課題に関心を寄せて地域の発展につなげたい。
 いずれの選挙も沖縄の将来を左右する大事な選択となる。各候補者には活発な政策論争を期待する。有権者は候補者の訴えに耳を傾けて課題への理解を深め、貴重な一票を投じてほしい。