<社説>沖縄社会とSDGs 10年後へ責任が問われる

 貧困を克服し、地球環境を守って平和と豊かさを享受できる。そんな社会を目指すために国連は2015年にSDGs(持続可能な開発目標)を採択した。

 目標期限は30年末と定められている。年が明け、期限まで残り10年余となった。SDGsの考える「誰一人取り残さない」社会づくりに何ができるか。新たな年に将来世代への責任という点でSDGsを考えたい。
 SDGsは、貧困を終わらせ、全ての人に平等な機会が与えられ、地球環境を壊さずにより良い生活を送ることができる世界を目指す国際社会の約束で、17分野に169もの目標がある。
 途上国に限定された取り組みと考えられがちだが、地球環境全体、さらに未来への責任を問う問題でもある。それを思い起こさせてくれたのはスウェーデンの17歳、グレタ・トゥンベリさんだった。
 トゥンベリさんは昨年9月の国連気候行動サミットで、温暖化で人々が苦しみ、生態系が崩壊しているとして「全ての将来世代があなたたちを注視している。(必要な対策を怠り)われわれを失望させることは決して許さない」と各国の首脳らに対策を迫った。
 先進国が大量生産・消費・廃棄を続けて資源が枯渇しつつある上に地球温暖化や環境破壊を生み、資源を巡る争いがテロや紛争につながり、さらなる貧困を生む。悪循環を断ち切り、将来世代のために先進国も途上国も国際社会全体で努力しなければならない。
 県内でもSDGsへの関心は高まっている。企業が相次いでSDGs宣言を出し、教育現場でも教材に取り入れる学校が増えている。
 169もの目標を前に何をすれば良いのか分からないという人もいるだろう。しかし、県内にはできることを一歩ずつ進めることでSDGsの目標に近づいている人たちがいる。
 本紙新年号には、頭からビニールをかぶり死んだウミガメを見つけたことをきっかけにレジ袋の削減に取り組む商店主、ダイオキシンの排出を抑えた小型焼却炉をアジアに輸出した企業、口唇(こうしん)口蓋(こうがい)裂(れつ)の患者を無償で治療する琉球大医学部の事例が紹介されている。取り組みをさらに進めたい。
 沖縄県はSDGsの合言葉である「誰一人取り残さない、沖縄らしい優しい社会」を県政の柱に掲げ、新たな振興計画にSDGsの理念を盛り込む考えだ。
 ただし、推進を単なるスローガンに終わらせてはならない。現状の沖縄がSDGsの169の目標をどの程度達成しているかをデータ化し、進(しん)捗(ちょく)度を県民が見えるようにする必要がある。
 19年発表のSDGs達成度ランキングでは日本は162カ国中15位で、上位は北欧諸国が独占した。いまの沖縄がどうなっているか、現状と目標を示すのも行政の役割だ。



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