<社説>うるま市で豚コレラ 被害の封じ込めに全力を

 本州で猛威を振るっている豚コレラ(CSF)が沖縄でも発生した。うるま市の養豚場で飼育されている豚が感染していたのである。

 県内で豚コレラが確認されたのは1986年10月以来、33年3カ月ぶりだ。沖縄の畜産業にとって極めて憂慮すべき事態になった。
 県農林水産部、農林水産省などの関係機関は養豚農家と手を携え、被害の封じ込めに全力を挙げてもらいたい。
 豚コレラは豚、イノシシに特有の家畜伝染病だ。罹患(りかん)すると発熱、食欲減退、歩行困難などの症状が現れる。治療法はなく、致死率が高い。人にうつることはなく、豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べたとしても影響はない。
 とはいえ、豚コレラウイルスの感染力は強い。まん延を防ぐため、1頭でも発生すると同じ養豚場の全ての豚を殺処分しなければならなくなる。うるま市のケースでは、1800頭超を処分し埋却する。被害は甚大だ。
 86年に発生した際は、北部で確認されたのに続いて、中部、南部でも発症し、本島全域に広がった。1600頭以上が殺処分されている。
 今回発生した養豚場以外に被害を拡大させないための対策が重要になってくる。
 部外者によってウイルスが持ち込まれてはいけないので、農場への関係者以外の立ち入りは厳禁だ。
 畜舎に出入りするときは、靴の洗浄・消毒を徹底し、運搬車両、着衣の衛生管理にも気を配りたい。餌に肉を含んでいるか、肉を含む可能性があるときは十分に加熱処理をすることだ。
 農家は、飼育する豚を毎日よく観察し、異常があれば、直ちに家畜保健衛生所に通報してほしい。早期発見が極めて重要だからだ。
 行政側に求められるのは、豚コレラの発生について注意を喚起し、感染防止対策を徹底することだ。併せて、ウイルスの侵入経路を突き止めることが不可欠だ。
 本州では2018年9月に岐阜県の養豚場で豚コレラが確認された。昨年までに、愛知、長野、埼玉など1府8県にまで広がった。九州、四国では確認されていない。
 旅行者がウイルスを含んだ肉を海外から不正に持ち込み、野生のイノシシがこれを食べた可能性が指摘されている。イノシシを介して養豚場に広がったようだ。
 今回は、九州を飛び越えて発生していることから、本州以外からウイルスが侵入したのかもしれない。沖縄には年間1千万人もの観光客が訪れる。外部から病原体が入り込むリスクは常に存在する。
 豚コレラとは別の病気で、致死率が100%に近いアフリカ豚コレラ(ASF)もアジアで拡大している。断じて侵入を許してはならない。空港や港など、水際対策を強化すべきだ。被害を最小限に食い止めるためあらゆる手だてを講じたい。



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