<社説>桜を見る会首相答弁 国民に隠し立てをするな

 「桜を見る会」を巡る数々の疑惑に対し、安倍晋三首相が通常国会で「ゼロ回答」を続けている。

 事実を隠蔽(いんぺい)するため詭弁(きべん)を弄(ろう)しているように映る。このままうやむやにするわけにはいかない。首相は不誠実な態度を猛省し、国民への説明責任を果たすべきだ。
 首相主催の「桜を見る会」に招待されるのは各界で功績、功労のあった人などだ。ところが首相の地元・山口県の支援者らが多数招かれていた。政府が「私人」であると閣議決定した首相夫人昭恵氏が推薦した人もいる。
 首相の地元事務所は後援会関係者に向けたツアーを企画していた。申し込んだ人は事実上、ノーチェックで桜を見る会に参加していたようだ。
 支援者に特別な便宜を図った上、公金で接待したわけであり公的行事の私物化にほかならない。血税を使い地元有権者を買収したのではないか―と疑われても仕方がない。
 地元事務所による推薦について安倍首相は「既に記録は残っておらず、詳細は明らかでない。私の事務所から推薦を行ったもので招待されなかった例もあった。具体的な人数は、名簿も廃棄されていて定かでない」と答弁した。
 名簿は翌年の招待者を検討するのに不可欠な資料だ。少なくとも担当者の手控えなどの記録は残っているはずだ。その気になれば復元は容易だろう。それをしないのは、名簿を残していたら困る事情があるからではないのか。
 実際、預託商法を展開して破綻した「ジャパンライフ」元会長が首相推薦枠で招かれた疑いがある。同社の資料には招待状の写真が掲載され、宣伝に使われた。反社会的勢力と指摘される人物の出席も取り沙汰されている。
 こうした点について首相は「個々の招待者やその推薦元については個人情報のため回答を差し控えている」として説明を拒んだ。本来、出席したことを公言できないような後ろ暗い行事ではない。功績があるとして招いた人を公表しないのは理解し難い。
 東京都内のホテルで開かれた「前夜祭」も疑惑だらけだ。会費は1人5千円だったが、このホテルの宴会相場は1万1千円からだ。後援会が差額を補填(ほてん)していれば公選法違反の疑いがあるし、ホテル側が大幅に値引きしたのなら違法献金に当たる可能性がある。
 明細の開示を求められた安倍首相は「ホテル側が資料提供に応じられないとしている」として拒否した。逃げ口上としか受け取れない。
 「隠し立てとの指摘は当たらない」と首相は反論したが、この間の政権の対応は「隠し立て」そのものだろう。
 首相は24日の参院本会議で、桜を見る会などの不祥事に関し「大切な審議時間が政策論争以外に多く割かれている状況は国民、納税者に大変申し訳ない」と述べた。本心からそう思うなら、まず隠し立てをやめることだ。



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