<社説>伊江島で米軍落下物 沖縄に訓練の適地はない

 伊江村で1月29日、米軍が投下した落下傘の付いた箱が民間地域に落ちる事故があった。箱はプラスチック製で、砂袋が入っていたという。

 これまで、同村ではパラシュートで降下した兵士や物が住民の生活圏に落下する事故が繰り返されてきた。その事実は、伊江島が訓練を実施する場所としてふさわしくないことを示している。いつか人命に関わる事態を招く恐れがある。
 狭い沖縄にパラシュート降下訓練や物資投下訓練に適した場所はない。県内での訓練は直ちに中止すべきだ。
 米軍は、基地の使用目的・提供条件などを日米間で定めた1972年の「5・15メモ」に基づき、伊江島で訓練を実施してきた。
 1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告では、パラシュート降下訓練を米軍伊江島補助飛行場で実施することが合意された。
 提供区域外に米兵が降下する事故は後を絶たない。昨年4月にはフェンスから100メートル余り離れた畑に、同年10月には2日連続で提供区域外の伊江島空港などに兵士が落下した。
 今回、落下傘と箱が落ちたのは基地の金網から約60メートル離れた提供区域外のサトウキビ畑だ。米海兵隊と米陸軍がパラシュート降下訓練を実施中だった。
 在沖海兵隊は本紙の取材に「訓練は自由で開かれたインド太平洋地域の安全を確保し米軍の即応性を維持するために必要だ」と回答した。
 伊江島補助飛行場は、村面積22・78平方キロの35・2%を占める。訓練の内容は多岐にわたり、地元の負担は余りにも過重だ。訓練による騒音も看過できない。
 村当局や村議会は事故が起きるたびに日本政府や米軍に再発防止を求めてきたが、一向に改善されない。
 米軍は昨年10月の事故の後、訓練の様子を収めた写真をウェブサイトに公開し「訓練は同盟国に安全をもたらす」などと投稿していた。全く反省の色が見られない。
 村民は「いつ人身に被害が出てもおかしくない」と不安を募らせている。重大な事故が起きてからでは取り返しがつかない。
 何よりも問題視しなければならないのは、米軍が住民の安全を全く考慮に入れていないことだ。
 訓練に際し、事前に通知して注意を喚起することさえ行われていない。まるで島全体が訓練場であるかのように傍若無人に振る舞っている。
 伊江村の人口は4500人余りだ。住民地域に近接した場所で物資の投下や落下傘降下訓練をすること自体、非常識だ。
 米国に基地を提供しているのは日本政府である。危険な現状を放置しているのは責任の放棄にほかならない。パラシュート降下や物資投下の訓練を県内で行わないよう、米国と交渉すべきだ。



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