<社説>プロ野球キャンプ 沖縄観光の重要な目玉だ


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 プロ野球の春季キャンプが一斉に始まった。沖縄を訪れた大勢の関係者やファンを心から歓迎したい。

 沖縄でキャンプを張るのは、北海道日本ハム、阪神、広島、中日、横浜DeNA、東京ヤクルト、巨人、東北楽天、千葉ロッテの国内9球団、韓国のサムスン、LGツインズの2球団、中国の北京タイガースの計12球団だ。
 このうち、国内7球団の1軍と広島の2軍、韓国のサムスンと中国の球団が練習をスタートさせた。今月中旬には広島の1軍と読売、韓国のLGツインズも沖縄入りする。キャンプの成果は今季の成績を左右する。選手たちは故障なく調整を順調に進め、沖縄キャンプを生かし万全の態勢で開幕を迎えてほしい。
 日本ハムは球場の改修を終え、5年ぶりに名護にキャンプインした。待ち望んでいた多くのファンが初日から歓声を上げた。沖縄初のプロ野球チームとして日本プロ野球機構参入を目指す琉球ブルーオーシャンズも東風平球場で始動した。今春の明るい話題だ。
 ロッテの注目ルーキー佐々木朗希(岩手・大船渡高)は石垣でプロの第一歩を踏み出した。県勢では、西武の山川穂高ら4人、ソフトバンクの東浜巨ら3人が1軍参加となり注目される。県内でキャンプを張るDeNAの嶺井博希、神里和毅、中日の又吉克樹、日本ハムの上原健太らも活躍が期待されている。
 プロ野球キャンプは沖縄の経済を支える観光の大きな柱であり、重要な目玉の一つだ。りゅうぎん総合研究所によると、経済効果は年々増加しており、2019年春は前年比14・9%増の141億3100万円に上り過去最高を更新した。球団がファンサービス情報をSNSで発信したためリピーターが増えたことなどが要因だという。
 観光はその時々のイメージや風評被害などの影響を受けやすい。受け入れ側のホスピタリティーやサービスの向上で、リピーターの心をがっちりつかまえることが観光産業の安定につながる。プロ野球キャンプは、夏季の海洋レジャーを基軸とする沖縄観光が年間を通して活況を維持する重要な機会でもある。
 プロ野球選手を夢見る子どもたちにとって、プロのプレーを間近で見られる好機だ。希望が膨らむだろう。五輪野球代表への期待も大きい。
 一方で、今年は韓国球団の参加が昨年の7から2に減った。日韓関係の悪化が暗い影を落とす。新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を避けるため選手がサインなどのファンサービスを行う際にはマスクを着用する球団もある。
 さまざまな外的事情にも対応できる態勢づくりが課題だ。沖縄が今後、スポーツアイランドとしてさらなる飛躍を目指すには、国内だけではなく、世界に認知される必要がある。選手やファンが安心して沖縄を訪れることができる環境を整えたい。