<社説>新型肺炎の政府方針 医療体制の構築が急務だ

 どこで感染したのかはっきりしない患者が県内でも確認され局面は明らかに変わった。抜本的な方針転換が迫られていた中で、遅すぎる対応と言わざるを得ない。

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の国内流行に備え、政府は25日、基本方針を決定した。
 今後は患者が大幅に出る地域が生じた場合に一般の医療機関でも感染が疑われる人を受け入れるという。重症者については優先的に診る医療機関などを整備し、死者の発生を最小限に食い止める医療体制を構築する方針だ。
 国内では感染の連鎖などによる患者の小さな集団は確認されている。一方で大規模な感染拡大が起きている地域はないとの現状分析を踏まえ、患者の集団発生を早期に把握して拡大を防ぐ方針も示した。
 クルーズ船での集団感染を巡っては、検査で陰性となり下船した人が発症するなど、感染防止対策の不備が指摘されている。これ以上の失態は許されない。
 新型肺炎は、感染しても無症状や軽症の人もいる。罹患(りかん)しても多くの人が軽症で治る半面、一部の人は重症の肺炎を引き起こす特徴がある。特に高齢者や糖尿病、心不全といった持病のある人は重症化のリスクが高い。
 近距離での会話で、せきやくしゃみにといった飛沫(ひまつ)によらなくても感染する恐れがある。政府はインフルエンザより重症化のリスクが高いとの見解も盛り込んだ。
 併せて入院できる病床や人工呼吸器も確保する考えだ。院内感染が広がらないように軽症患者には自宅療養を求め、高齢者施設で感染が発生した場合は入院治療が受けられるようにするという。国内流行が始まっていることを念頭に置いた対策にやっとかじを切ったと言えよう。
 県内での感染の状況に目を向けると、見逃せないのは1人目と2人目は県が特定した警戒範囲の200人の中には含まれず、県の調査リストからも漏れていたことだ。
 2人とも今月1日に那覇へ寄港したクルーズ船の乗客を乗せたタクシー運転手で、接触者だった。ウイルスに感染した場合の症状が定かでなかったこともあろう。しかし症状が多様であることも分かってきた。今後は最大の警戒心を怠らず、対処したい。
 県内での感染対策も3人目の罹患者が出て、新たな局面に入っている。中国の渡航歴もなく、クルーズ船乗客との接触や2人の感染者との接点もない。感染経路が判然とせず、市中感染との指摘もある。
 今後は一般病院でも、動線や診断時間を分ける対策をした上で、感染が疑われる人を受け入れる場合もある。
 その際に感染リスクにさらされるのは医療従事者だ。院内感染の恐れもある。医師や看護師を守るための体制づくりが不可欠だ。高齢者向けの施設などの感染を防ぐ手だても徹底してほしい。



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